その境界線は。
高町なのはを全力全開で愛していく。そんな小説を書いてます。
あなたに会えなかったら、私はまたひとり 2007/12/31
Christmas企画のSSを年末にというのはどうかとも思いましたが、愛さえあればきっと大丈夫。だよね?
今年最後はやっぱり、大好きななのヴィで行きます!
ヴィータが歪んでいるというのはこのサイトではデフォ、ということを踏まえつつ。
よろしければ続きよりどうぞ。
あなたに会えなかったら、私はまたひとり
耳朶にキスをして。
髪を撫でてもらって、ほどかれて。
彼女への愛しさで溢れる胸が暴れては、泣きそうになる。
堪え切れず、うっすらと瞳の表面に涙が盛り上がれば、彼女は人差し指で、あるいは舌で丁寧に拭ってくれる。
溺れていく自身を、はっきりと感じる。
月明かりを背にした彼女の柔らかな微笑を受けて、あたしは毎夜、揺れる水面に沈んでいった。
ふと強い風が吹いた。
昨晩降った雨が、埃の渦巻く空を明瞭にする。くっきりと、怖いぐらいに青く澄んだ空を見上げながら目を細めた。街はクリスマスソングで溢れ返っている。道行く人間は誰も彼もがにこにこと闊歩していて、それぞれの夜に想いを馳せている。かくいう自分もその一人であるのだが、今はこうして立ち止まって、空を見上げている。空を見ていると、亡霊のごとく意識の中に侵入してくるものがある。空の好きなかの人のことが、白い服の似合うなのはのことが浮かぶ。
再び強い風が吹いて、首に巻いたマフラーが前に流れる。ジャケットのパーカーを被ろうとしたけれど、もし彼女が見つけてくれないと困る。裸の手を上着のポケットにつっこむことなく、ぼんやりと見上げて過ごすことで時間を潰す。
些か早く来すぎただろうことは分かっていた。早く到着し過ぎると体が冷えてしまうよ、と今朝はやてにも言われた。だがそれならそれでいい。体が冷えれば、なのはが抱きしめてくれるかもしれない。指がかじかんでいれば、手を握ってくれるかもしれない。その時のことを思えば、今数十分、一時間の寒さなんてどうということはない。
息を切らせて駆けてくるなのは、吐く息の白さに慌てた顔のなのは、照れながらも手をつないでくれるなのは。どれも想像に安く、自身に安心感をもたらしてくれる。
そして二時間が過ぎた。なのははまだ来ない。
とばりが下りてくる。
街で特別大きなツリーがその魅力を最大に発揮する時間だ。ツリーだけではない。そこかしこし電飾がつけられ、目にちかちかと鬱陶しい。通りを歩く人々は昼間よりもこの電飾よりも尚更明るい笑顔を点灯させているけれど、それすらも煩わしいものに感じられる。だって隣になのはがいない。体を包んでくれる温かな感触も、大きな手もない。
「遅いな、あいつ」
衣類に包まれている足さえがちがちに凍りついている。マフラーに顎を埋める。
「なにょは、……なのは」
必死の呟きも、雑踏に紛れ掻き消える。
はやてやシグナム達が心配しているだろうか、考えてそれはないと打ち消す。今日は泊まりだと言っておいた。ならば皆今頃は八神家で談話や美味しいごはんにありついていることだろう。あたしも愛しい人と過ごしているのだと、安心して。
独りだった。
宗教熱心でも、昔の神を拝めるわけでもなく、自分にとって元々こんな日に意味などはなかったけれど、それでもあたしは独りでいることが苦痛になっていた。慣れていた孤独がはやてによって遠ざけられて、独りがいつの間にか怖くなってしまった。独りの時間を埋めてくれ、忘れさせてくれたのがなのはだった。
孤独を埋める方法は知っている。今すぐ家に帰ればいい。少し不審な顔はされるだろうけど、すぐに受け入れてくれる。はやては美味しいご飯とケーキを切り分けてくれるだろうし、シグナムやシャマルはなんだかんだで迎えてくれるだろう。ザフィーラもいつものように無言で居場所を作ってくれる。そんな温かな家族の中に身を置けばそれでいいのだ。
だけど、と思う。あたしはどうしても今日、そうする気にはなれない。
会いたい人がいる。
「なのは」
やがて顎や頬も凍え、舌も動きづらくなって、そんな呟きも途絶えた。四時間が経っていた。帰るという選択肢を探せないまま瞼を静かに落としたあたしは、独り、馬鹿みたいに路上に突っ立っている。
来ないなら、独りで過ごすならそれもいい。孤独は慣れ、当然に。泡沫の如く雪と溶けていくから。
長い間夜天を仰ぎながら、一つ思い出したことがある。今日もともとなのはとの約束なんてなかったのだと。勝手にここで待っているだけなのだと、今更思い出す。それならば来ないのは当然だった。何でそんな勘違いをしてしまったのかわからない。ただ約束など始めからなかったということだけは思い出せた。
――ならば目の前にいるあいつはいったい誰なのか。
声に出せない問いを飲み込みながら見上げる。瞬きすら惜しい、待ちわびた彼女の姿。
「なんとなく待ってくれている気がして」
距離はすぐに縮まった。頭一つ分高い彼女の胸にすっぽりと包まれる。全身が凍えて抵抗などできない自分は、素直にされるがままになっていた。
「その自意識過剰だか第六感だかわかんない行動はやめた方がいいぞ、無駄足を踏むことだってあるんだからな」
「そうだね。でも今日は、来てよかったよ」
痛みを感じるくらいに抱きすくめられて、そんなことを言われる。なのはの胸の中にいると、あれほど凍えていた自身の体に熱が戻った。待った時間などその中に全て融解する。意識が足元から崩れ堕ちていくようだった。
なのはがいてくれるなら、それでいい。こうして会いたいときに傍にいてくれるなら、自我が溶けていくくらいなんてことない。
好きだ。好きだ好きだ好きだ。――大好きだ、と。熱に歪められた心がシャウトする。
「そんなに抱きつかれちゃったら、もう離せないよ?」
「いいよそれでも」
「朝まで?」
「……ああ」
むしろそうしてほしい。隙間風なんて感じなくていいくらい強く抱きしめてほしい。朝が来ても顔を見詰めたままで、ベッドから抜け出して服なんて着ないでほしい。
「可愛い、ヴィータちゃん。大好き」
耳に、瞼に、頬に、首筋に。沢山のキスを降らせながら囁かれる。
自分だって、食物連鎖的な意味で食べてしまいたいくらいに好きだ。あたしが強いだなんて思ってる彼女は知らないだろう。独りは怖いんだ。離れていかれるくらいなら自分のものにしてしまえばいいとさえ考える。自分の中に閉じ込めて、二度と出してなんてやらない。
今日は会いに来てくれて嬉しいよ、だけどなのは。その選択肢は正解じゃなかった。心がなのはを離れる機会を失った。
もう、離してなんてやれない。
なのはへの想い。それは依存にも似た――。
× あとがき ×
自分なりに頑張ってラブラブを目指してみましたが、さて。
……ふたりはラブラブなんだよ?これでも。甘くはないんですが。
ああでも、これでラブラブなんて言ったら殴られるだろうか。
このあとヴィータはなのはに命を注ぐ騎士になるんだと思う。
今年最後はやっぱり、大好きななのヴィで行きます!
ヴィータが歪んでいるというのはこのサイトではデフォ、ということを踏まえつつ。
よろしければ続きよりどうぞ。
あなたに会えなかったら、私はまたひとり
耳朶にキスをして。
髪を撫でてもらって、ほどかれて。
彼女への愛しさで溢れる胸が暴れては、泣きそうになる。
堪え切れず、うっすらと瞳の表面に涙が盛り上がれば、彼女は人差し指で、あるいは舌で丁寧に拭ってくれる。
溺れていく自身を、はっきりと感じる。
月明かりを背にした彼女の柔らかな微笑を受けて、あたしは毎夜、揺れる水面に沈んでいった。
ふと強い風が吹いた。
昨晩降った雨が、埃の渦巻く空を明瞭にする。くっきりと、怖いぐらいに青く澄んだ空を見上げながら目を細めた。街はクリスマスソングで溢れ返っている。道行く人間は誰も彼もがにこにこと闊歩していて、それぞれの夜に想いを馳せている。かくいう自分もその一人であるのだが、今はこうして立ち止まって、空を見上げている。空を見ていると、亡霊のごとく意識の中に侵入してくるものがある。空の好きなかの人のことが、白い服の似合うなのはのことが浮かぶ。
再び強い風が吹いて、首に巻いたマフラーが前に流れる。ジャケットのパーカーを被ろうとしたけれど、もし彼女が見つけてくれないと困る。裸の手を上着のポケットにつっこむことなく、ぼんやりと見上げて過ごすことで時間を潰す。
些か早く来すぎただろうことは分かっていた。早く到着し過ぎると体が冷えてしまうよ、と今朝はやてにも言われた。だがそれならそれでいい。体が冷えれば、なのはが抱きしめてくれるかもしれない。指がかじかんでいれば、手を握ってくれるかもしれない。その時のことを思えば、今数十分、一時間の寒さなんてどうということはない。
息を切らせて駆けてくるなのは、吐く息の白さに慌てた顔のなのは、照れながらも手をつないでくれるなのは。どれも想像に安く、自身に安心感をもたらしてくれる。
そして二時間が過ぎた。なのははまだ来ない。
とばりが下りてくる。
街で特別大きなツリーがその魅力を最大に発揮する時間だ。ツリーだけではない。そこかしこし電飾がつけられ、目にちかちかと鬱陶しい。通りを歩く人々は昼間よりもこの電飾よりも尚更明るい笑顔を点灯させているけれど、それすらも煩わしいものに感じられる。だって隣になのはがいない。体を包んでくれる温かな感触も、大きな手もない。
「遅いな、あいつ」
衣類に包まれている足さえがちがちに凍りついている。マフラーに顎を埋める。
「なにょは、……なのは」
必死の呟きも、雑踏に紛れ掻き消える。
はやてやシグナム達が心配しているだろうか、考えてそれはないと打ち消す。今日は泊まりだと言っておいた。ならば皆今頃は八神家で談話や美味しいごはんにありついていることだろう。あたしも愛しい人と過ごしているのだと、安心して。
独りだった。
宗教熱心でも、昔の神を拝めるわけでもなく、自分にとって元々こんな日に意味などはなかったけれど、それでもあたしは独りでいることが苦痛になっていた。慣れていた孤独がはやてによって遠ざけられて、独りがいつの間にか怖くなってしまった。独りの時間を埋めてくれ、忘れさせてくれたのがなのはだった。
孤独を埋める方法は知っている。今すぐ家に帰ればいい。少し不審な顔はされるだろうけど、すぐに受け入れてくれる。はやては美味しいご飯とケーキを切り分けてくれるだろうし、シグナムやシャマルはなんだかんだで迎えてくれるだろう。ザフィーラもいつものように無言で居場所を作ってくれる。そんな温かな家族の中に身を置けばそれでいいのだ。
だけど、と思う。あたしはどうしても今日、そうする気にはなれない。
会いたい人がいる。
「なのは」
やがて顎や頬も凍え、舌も動きづらくなって、そんな呟きも途絶えた。四時間が経っていた。帰るという選択肢を探せないまま瞼を静かに落としたあたしは、独り、馬鹿みたいに路上に突っ立っている。
来ないなら、独りで過ごすならそれもいい。孤独は慣れ、当然に。泡沫の如く雪と溶けていくから。
長い間夜天を仰ぎながら、一つ思い出したことがある。今日もともとなのはとの約束なんてなかったのだと。勝手にここで待っているだけなのだと、今更思い出す。それならば来ないのは当然だった。何でそんな勘違いをしてしまったのかわからない。ただ約束など始めからなかったということだけは思い出せた。
――ならば目の前にいるあいつはいったい誰なのか。
声に出せない問いを飲み込みながら見上げる。瞬きすら惜しい、待ちわびた彼女の姿。
「なんとなく待ってくれている気がして」
距離はすぐに縮まった。頭一つ分高い彼女の胸にすっぽりと包まれる。全身が凍えて抵抗などできない自分は、素直にされるがままになっていた。
「その自意識過剰だか第六感だかわかんない行動はやめた方がいいぞ、無駄足を踏むことだってあるんだからな」
「そうだね。でも今日は、来てよかったよ」
痛みを感じるくらいに抱きすくめられて、そんなことを言われる。なのはの胸の中にいると、あれほど凍えていた自身の体に熱が戻った。待った時間などその中に全て融解する。意識が足元から崩れ堕ちていくようだった。
なのはがいてくれるなら、それでいい。こうして会いたいときに傍にいてくれるなら、自我が溶けていくくらいなんてことない。
好きだ。好きだ好きだ好きだ。――大好きだ、と。熱に歪められた心がシャウトする。
「そんなに抱きつかれちゃったら、もう離せないよ?」
「いいよそれでも」
「朝まで?」
「……ああ」
むしろそうしてほしい。隙間風なんて感じなくていいくらい強く抱きしめてほしい。朝が来ても顔を見詰めたままで、ベッドから抜け出して服なんて着ないでほしい。
「可愛い、ヴィータちゃん。大好き」
耳に、瞼に、頬に、首筋に。沢山のキスを降らせながら囁かれる。
自分だって、食物連鎖的な意味で食べてしまいたいくらいに好きだ。あたしが強いだなんて思ってる彼女は知らないだろう。独りは怖いんだ。離れていかれるくらいなら自分のものにしてしまえばいいとさえ考える。自分の中に閉じ込めて、二度と出してなんてやらない。
今日は会いに来てくれて嬉しいよ、だけどなのは。その選択肢は正解じゃなかった。心がなのはを離れる機会を失った。
もう、離してなんてやれない。
なのはへの想い。それは依存にも似た――。
× あとがき ×
自分なりに頑張ってラブラブを目指してみましたが、さて。
……ふたりはラブラブなんだよ?これでも。甘くはないんですが。
ああでも、これでラブラブなんて言ったら殴られるだろうか。
このあとヴィータはなのはに命を注ぐ騎士になるんだと思う。
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アリサ×なのは

comments
この感じも…次が気になる展開ですね。
今度はなのはがどう思ってヴィータの元へ来たのか、その話なんかも良いかもね☆
次も頑張って下さいね。
実はこのなのは、ついさっきまでフェイトと……。
という裏設定を考えていて、それではあまりにも外道だろうということでやめました。
うん、クリスマスですしね。ヴィータ大好きななのはは、こう、乙女の直感でびびっとヴィータちゃん電波を受信したのです。
というのは冗談で(自重
いつも自分からクリスマスの約束をとりつける。
→今年はヴィータちゃんから誘ってほしくて、自分からは誘わなかった。
→結局さそってくれなかったので、家族は忙しく、今年はハラオウン家でのクリスマスパーティーに参加する。
→でもヴィータちゃんが気になるな。
→なんだか寂しくなったなのはは、パーティーを終えてからせめてとクリスマスツリーに足を運ばせる。
→ヴィータちゃんを発見。迷うことなく駆け寄る。
そんな感じでした。楽しんでいただけたなら幸いですm(_ _)m
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