大切な Trash Box       2007/09/14

なのは×ヴィータSSです。
なんかなのヴィばかり書いてる気が……。
いあ、なのヴィは書いてて楽しいのですよw
なのフェは他の人が書かれた素敵すぎる文章を読んでるだけで満足してしまう。
今回は珍しくフェイトが“表向き”絡んできません。
え?裏では?そりゃあもう、ね。

それでは続きよりどうぞ。



 大切な Trash Box


 ぽふっ、と。脱力した身体がその胸に倒れこんだのは、日が沈んでもう随分と経った頃だった。
 上下に呼吸する小さな胸が可愛くて、思わず顔を埋めたままでいたくなる。
「どうしたんだよ、なのは」
 訓練を終え、今しがたシャワーを浴びてきたばかりの彼女は、いまだ汗の匂いをさせる私を跳ね除けることなく、そのままでいてくれる。羞恥を感じないわけではなかったが、それ以上に彼女の胸の心地良さからは離れ難かった。
「ん、気持ちいいー……」
「そうか?こんなちっとも膨れてない胸なんて、そう触れてて良いものと思わないけどな」
「そんなことない、気持ちいい。それに全然なくはないよ」
 と。私は体勢を変えずに左手で胸に触れた。軽くだったつもりなのだが、小さく反応してくれることが嬉しくて、さらに進めようとし――はた、と思い返す。
 ああ、今日はこんなことをしたいわけじゃないのだ、と。
 いきなり行動を停止した自分を不思議そうに見下ろす彼女は今、濡れた髪を解いている。だから、胸に指を埋めるかわりに、髪を絡ませた。いつも結っているせいかウェーブのかかった髪は、どこか艶やかな香りがした。今度は掌にのせて口付ける。
 全て愛を理由にした自己満足の、行動。
 彼女はじっとしていてくれる。抵抗も、歓迎もしない。ただ受け入れてくれるのだ。沈黙の中に優しさを包む術を、彼女は知っている。
「私も脱いじゃおうかなあ」
 汗をたくさんかいているのだからシャワーを浴びてくるべきだとは思う。だけどどうやってこの胸から、彼女から離れればいいのか分からない。
 ささやかな乳房も、触れれば反応してくれる感度の良さにも、自愛に満ちた香りも。私は全部好きだった。
「なのは……お前、今日はおかしいぞ」
「そうかな」
 そうだ、と彼女は言った。
 そうかもね、と私は返した。
「ちょっと嫌な事聞いちゃったせいかも」
「ん?」
 優しく。いつの間に身につけたのだろう、柔らかな微笑をこちらに向けてくれる。新人達の訓練をしてる時などでは決して見せないその表情を、私だけが独り占めをしている――なんてことは、考えなかった。
 彼女の中には、いつだって最優先の人がいたから。守るべき人。そのために、あるいは蒐集の為に生まれてきたプログラム。それが彼女だった。
 彼女が主と定め、誓いを捧げた人。それは私ではない。だからこそこうして甘える事ができるのだが。
「この胸は、はやてちゃんにも揉まれてるんだよね。それがちょっとだけ、嫌だなって思ったの」
「はぁ?そんなのずっと昔……、でもないです、すみません。ここ一週間のうちにもやられました」
「むー」
「そんな睨まれても困るよ、つーかあれはあたしが望んだものじゃないし」
 じっと見詰める自分に、嘘は無駄だと悟ったのか訂正をする。ここで嘘がつけない彼女の性格を嬉しく思うべきか、はたまた嘆くべきなのか。
 どちらにしても、彼女は優しいのだと思った。
「分かってるけど。それでも隙がありすぎだだとは思わないかな」
「う、そりゃまあ、はやてだし、どうしても甘くは……なる。でも仕方ねーよ、あたしははやてがあってこそのあたしなんだから」
「だけど……やっぱり嫌だよ」
 くっと押し殺すように彼女は笑った。私はたまらずに身体を起こし、彼女を睨んだ。
「いや悪い、だってなのはがヤキモチ焼いてくれるなんて思わなくて」
「だって、そりゃあ私だってたまには妬くよ」
「どうかな、なのははどっちかっていうと、妬かせる方が上手いからな。あたしなんていっつも妬かされてる」
「そんなこと、……って妬いてくれてたの?」
 苦笑を溢す彼女に詰め寄るも、落ち着けとばかりに右手一本で再び距離を広げられる。なんだか私の方が子供みたいで、むっときてしまったが、それどころではない。
「初耳」
「わざわざそんなこと本人になんて言わねーよ」
「そうかもしれないけどさ、言ってくれた方が嬉しいのに」
 そう、初めて聞いた。彼女はいつも外では私に関心など一欠片でもあるのだろうかというくらいにそっけない。むしろはやてちゃんといる彼女を見ていると、さらにその思念は顕著になる。
 違いすぎる態度。見たくないものを不用意に見せられて、突如嘔吐をもよおすような感覚に襲われる。
 もちろんそれが、彼女のなりの裏返しの愛情なのだと信じているのも確かだった。だからこそこうして、無防備なまま胸に飛び込んだりもできる。
「だいたいなのはは誰かれかまわず笑顔振り撒きすぎ、優しくしすぎ。フェイトなんていい例だ。あいつなのはに惚れてるんじゃねーのか」
「それは、ないよ。ずっと昔から友達だし」
 そりゃああいつも可哀想にな、という呟きは聞こえないふりをした。
「他にもいるなあ、なのはが好きってやつ。分かるやつだけでも名前挙げてたら朝が来る」
「流石にそれは言いすぎ、というか絶対に気のせいだと思うけど」
「お前な、誰が一番お前のことずっと見てると思ってるんだよ。フェイト・テスタロッサでもはやてでも、ましてや新人四人でもない。あたし以上になのはを見てるやつなんていないんだからな」
「……うん、ありがとう」
 いつの間にか二人並んでベッドに寝そべっていた。隣に視線を這わせると、空間のある一点を見詰めていて、それを追うがどこかは分からなかった。
 すっと動いた先で思わず指先が触れて。それだけで心臓が早鐘を打つのは可笑しいだろうか。そんな段階はとっくに過ぎたというのに、いまだにどきどきしている自分が変なのかもしれない。
 だけど決して、不快な気分はしなかった。
 何をするわけでもない、こうして一緒にいて、同じ空間を眺めて同じ空気を吸い込んで。存在を感じられて。それだけで幸せになれる。
 彼女はそんな自分の想いにいつ気付いてくれるのか。
 分からなかったけれど、不思議と焦りはない。やはり自分は、こうしていられるだけで満たされてしまうのだから。
「さて、そろそろ部屋に戻らないと、心配するぞ」
 この部屋の時間の流れというものはだいたいにおいて早い。二つの針がちょうど真上ですれ違って、もう一時間にもなろうとしていた。私は頷く。
「にゃはは、そうだね。戻るよ」
 繋がれた手に私は知らずのうちに力を込めていた。
「おう、早く行っちまえ」
「もう酷いなあ」
「うるせ」
 言いつつ彼女も握り返してくれる。全く正反対の行動をしていると指摘したら、また可愛い反応が見れるのだろうと思うが、試す気にはならない。振り払われたら、きっと誰よりも自分が傷つく。
 ――そしてそれでも。
 私はこの部屋を出なければならないのだ。この手を離して。
 ベッドから起き上がり、扉の前まで行って立ち止まると、一度だけ振り返った。
「おやすみ、ヴィータちゃん」
「……ああ、おやすみ」
 そうしてまた一日が終わる。




× あとがき ×
こういう落ち着いたヴィータもちょっといいかなって思ってかいてみました。
最初ちらっと書きましたが、裏ではヴィータとフェイトが激しく戦っております。今のところヴィータの一人勝ちなんだけど、さて、なのはがフェイトに想いを伝えられたらどうするのかな。
でもフェイトはなのはに想いを伝えられないんだろうなあ。うちのとこのフェイトは(精神的に)弱いから。
それにしてもなのはなら、汗かいていながら抱き付かれても全然苦にならないだろうなあ。
ヴィータ羨ましい。・・・・ってなんだこれ、自分の願望か!?
素直なヴィータは大好きですよ。頭なでられて慌ててはねのけようとするヴィータももちろん可愛いんだけどw
地の文含め、なのはが一度しか名前を云わなかったことに、意味はきっとあるんだろうと思うよ。
タイトルの意味はご想像にお任せします。

短編◇ヴィータ×なのは | comments (6) | trackbacks (0) |
拍手返信なの1 | top | なのはを守る。

comments

はじめましてーwwSS読みました!!どの作品も面白かったです。特に連載SSは今後の展開が気になります。個人的にはなのフェも、なのはやも好きなCPなので私の中でも葛藤が…!!(>□<;)
とにかく、これからも更新頑張ってくださいww
ちょくちょくお邪魔したいと思いますwww
by: 銀太 | 2007/09/15 | URL [編集] | page top↑
>銀太さん
はじめまして!コメント、そしてSS読んでいただいてありがとうございます。
連載SSはなかなかに終わりが見えませぬ。ラストまでの道のりはきまってるんですが。
なのフェイもなのはやもいいですよね!もうなのは愛されすぎw
はい、日々精進を目指しながら更新頑張っていきます!
お暇があればまた見にきてやってくださいw
by: 西野加奈 | 2007/09/15 | URL [編集] | page top↑
はじめまして。どれも素晴らしいSSばかりですね!
なのヴィSSにも大変萌えさせて頂きましたが、自分も連載の幸福の在処が一番のお気に入りです。
あのフェイトさんに浮気(?)がバレたら偉い事になりそうでドキドキです(笑)ヤンデレ万歳!
ティアナはフェイトさんとなのはがそういう仲だと知っているんでしょうか?
続きが気になって夜も眠れません!更新頑張ってください、応援しています。
by: NA | 2007/09/16 | URL [編集] | page top↑
小説すべて読ませていただきました!
なのヴィもなのフェイも、もう全部のカップリングいいですよね!
むしろ、みんななのはのことが好きになればいい・・・!!

そしてそんな中でも私はなのヴィが好きなんで、小説がたくさんあるこのサイト様が大好きです♪
ヴィータvsフェイトも見てみたいです♪♪
この小説の続きとして!
by: スピノザ | 2007/09/16 | URL [編集] | page top↑
初めまして。
リンクして頂けていたようなので見に来ました。

なの×ヴィ読ませて頂きました。
ゆるやかな雰囲気が良いですね、というかヴィータさんのベタ惚れっぷりがタマリマセン。
はやてちゃん一筋っぽいイメージを覆すこのカップリングはなんていうかそのカタルシスも含め素敵ですね。

今後はフェイトさんにばれて修羅場展開とかそんな具合になったりするんでしょうか。

サイト内に他にも色々小説あるようなので時間を見て読ませてもらいたいと思います。
by: 入 | 2007/09/16 | URL [編集] | page top↑
>NAさん
はじめましてです!小説読んでいただいて有り難うございます。
「幸福の在処」でははやて以外はみんななのはのことが好きですからね……いろいろとやばいものがありますw
ヤンデレは私も好きですね。というかもう大好きv(w
死んだ瞳で「なのは……」とかいってたらそれだけで悶えられる自信がありますよ!
フェイトとの関係をしらないかと。なのはが態度にださないのもありますが、ティアナが知ってたらはやても知ってそうですし、そうしたらなのはさん生きていけなくなりそうです。

>スピノザさん
相手がフェイトであれヴィータであれ、なのはが絡んでるカプは本当に全部いいですよ!皆なのはさんのこと大好きです。機動六課は別名『高町なのはハーレム』ですから♪
ヴィータVSフェイトは、シリアスだといろいろえぐいことになりそうですね。VSはやてよりはましかもしれませんが。どちらも独占欲がたかく、一途なだけに熾烈な争いが・・・w
ギャグだとフェイトが変態に……、あ、それもいいかもしれない((ちょ

>入さん
いらっしゃいませです。
ヴィータはなのはにベタ惚れですよ。ヴィータ自身一途な性格なので、それがよりいっそう加速させているというか。
二期でもはやて相手のときはすごく一途でしたし。
自分の中でははやては家族、なのはは恋慕のようにかんがえています。事故がやっぱりひとつの区切りですね。
おそらくこの後フェイトには当然ばれて(隠したりしないから)、ヴィータVSフェイトが勃発するのではないでしょうか。ヴィータならやってくれます。
はい、またお時間があれば覗いてみてやってください。
by: 西野加奈 | 2007/09/17 | URL [編集] | page top↑

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