2017-06

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なの!!

タイトルがあれだけど、SSです。

なのなの言ってるちっちゃいなのはの話です。
ふざけた話が書きたかったんです。
凄くというほどではないけど、普段の自分が書くものにしては十分ゆるい話かな。ほのぼの?
いろいろ人がでてきますが、まあちっちゃいなのはさんも可愛いんだよ、ということでぜひ。
どうしてちっちゃくなったかとか、経緯はとか、そんなのおいておいて、気軽に読んでやっていただければ幸い。

ヴィータ視点。
よろしければ、続きよりどぞ。



 なの!!


 朝からなのはが鳴いていた。
 ロビーのソファに座るあたしはほとほと困り果てていた。なにせこんな小さなやつを放りだすわけにもいかないが、かといって仕事をしないと皆が困る。
 だがしかし、簡単ではないのが現状だった。
「なの~」
「……」
「なの~」
「……」
「なのー!」
 しびれを切らしたなのはが、あたしの服を引っ張る。訓練の帰りにシャワーを浴びようと寮に戻ったはいいが、そのままなのはに捕まった。子守役のザフィーラはどうしたんだ。
 考えて、そういえばとあたしは思い出す。昨日だったか、どうにか泣くなのはを宥めようと、ザフィーラは頬を舐めていた。その二人の様子を見かけたフェイトが、いっそ清々しいほどの殺気で襲いかかり、医務室送りにしたんだったな……。何をやっているんだか。
「ヴぃーたちゃん、あそぼ、なの」
「ひっぱんな。おいお前ら、こいつなんとかしろよ」
「と、言われましても」
 ティアナが眉を下げて苦笑した。既に散々振り回された後のようだ。でも可愛くてたまらないといった親兄弟の心境か。ってあたしも何を言っているんだろうな。
 もともと子守に適さないだろうティアナから、あたしはスバルに視線を移す。スバルは口元に手をやり「確かになんとかしたいところですが」、と言った。
「こう可愛いすぎるとですね。自室にお持ち帰りしてしまえば、襲ってしまう可能性が否定できなくて。へへへ~」
 なんでお持ち帰りすることになっているんだ、というアイゼンでの突っ込みが欲しいんだろうか、こいつは。
「さりげなくとんでもないことを言うわね、スバル」
「でもティアも本音ではそう思ってるでしょ?」
「……ノーコメントで」
 危ねえやつらだ。やっぱりなのははあたしが護ってやらないと……。
「なーのー!」
「ああわかったよ、うるせえなこいつは。まあ、誰も面倒見ないんじゃしょーがねえよな。うん、仕方ない。あたしが連れて帰っ――」
「ちょっとまった、その役目は私にもらおうか!」
 主が目の前に立ちふさがり、両手を広げる。……仕事はどうしたんだよ、はやて。この前グリフィズが泣いてたぞ。
「相変わらずヴィータは抜け目ない。油断が出来ないよ」
 ……フェイトまでか。しかし最近この二人仲いいな、なの連合でもl組んでるのか? そうだよな、なのははあたしに一番ひっついてるから、あたしに……へへ。
 なんて思考をとばしていると、首筋に冷えた感覚が走った。いや、“それ”自体に温度はないだろう。冷たく感じるのは魔力を削られているせいだ。首筋をかける血脈に、いつのまにかバルディッシュが宛がわれている。
「ねえ、ヴィータはなのはとどこへ行くつもり」
 フェイトの無感情な声に冷や汗を隠しながら、あたしは溜息で誤魔化してみせる。
「フェイトはとりあえずバルディッシュを待機モードに戻せ」
「私のなのはから手を離してくれない?」
 あたしの言うことなど聞きもしないフェイトが、冷たく言う。だが鼻血出していうことではない。汗が一気に引いた。向けられる殺気が本物だけに、やりとりがひどく馬鹿らしくなる。
「離れて」
 「あー……」と呟きながらあたしは頭をかく。手元のなのはを見ると、どうやら自分は無意識のうちになのはの手を握っていたらしい。フェイトがまた温度を下げた。でもあたしにはどうでもいい。なのはの不安気に揺れる瞳に意識がすべて引き寄せられていたからだ。
 怖がっている、のだろうか? いや、まさか。だがこいつをフェイトに渡すわけにはいかない。
 今、フェイトとなのはは別の部屋で眠っている。というのも、初めて小さくなった時に息を荒くして襲いかかったのだ。幸いそのときはヴィヴィオの報告によりあたしとはやてが殴り込んでとめたわけだが。とにかくあのままにしておけば、なのはの身が危ぶまれると危惧し、部屋を別つことになった。フェイトは抵抗していたが、なのは以外の六課メンバーによる却下の憂き目に合った。
 フェイトと今のなのはを同室にするのは、クアットロとなのはを同じ部屋に閉じ込めるくらいには恐ろしい。
 クアットロはどうしてかなのはに溺愛しているため、色んな意味でフェイトと同じくらい恐ろしかった。今クアットロが大人しくしているのは、一度ふてくされたままでいたところをなのはに諭され、納得したからであるが、小さくなっていると知ればそれこそどんな手をつかってでも抜け出してきそうだ。「なのは様~!」とか言って。
 これ以上のごたごたは避けたい。というか、フェイトみたいなのがこれ以上増えてもらっては面倒以外の何物でもないのである。そんなわけでフェイトとなのはは別の部屋で寝ていた。
 ちなみに今はあたしの部屋にいる。どうしてか、なのははあたしに一番よく懐いた。もちろん母親を慕うヴィヴィオも一緒に眠っている。
「ヴィータ」
 フェイトの一言により、あたしは思考の湖から現実に引き上げられる。すぐ目の前にフェイトが詰め寄ってきていた。……面倒だった。あたしは呆れやため息を押し殺し、断言する。
「とりあえず手を離すのは無理だな」
「……なんだって?」
 怒気が声にこもる。でもあたしは怯まない。
「お前みてーな変態から護るためじゃねーか、なっ!」
 バルディッシュの鎌から抜け、なのはを抱えて飛び退く。得意の高速機動を生かし、フェイトは襲いかかってくるが、腕に抱いたままのなのはに目を奪われたのか、一瞬動きが鈍る。その致命的な隙を突かない手はなかった。冷やされた首筋のお礼も兼ねて、無防備な後ろにアイゼンを叩きこんでやる。派手にソファーなどの家具類を巻き込みながら飛ぶが、まあ真ソニックフォームじゃないなら大丈夫だろう。
 フェイトを気にしてか、なのはが近づいてくる。あいつは大丈夫だと頷いてやると、なのははちょこちょこと歩み寄り、首を傾げてフェイトの方を窺った。だがそれがまずかった。気合で意識を保っていたフェイトに、そんななのはの姿がとどめとなった。
「なのは、私は幸せだったよ」なんてセリフを残して逝った。リインによろしくな。
 フェイトの頭を一通り撫でたあと、なのはが近づいてくる。どうした?と尋ねると、なのはは首を振ってあたしの手を掴んだ。
 足元にはにこにことしたなのはがいる。相変わらず、なのー、と鳴いている。
 だがなのはは「なのなの」とよく鳴くが、決して喋れないわけじゃない。喋らなくても、何と無く意図することが伝わってくるので必要もないが、こういう時には困る。なのははあたしの心の機微を察したのか、手をぐいっと引き寄せた。
「あのねヴぃーたちゃん、今日アイナさんに手伝ってもらってね、ごはんつくったの。ヴぃーたちゃんに食べてほしいなあ、って」
「ああ」
 それは嬉しいような。
「でもこれから教官の仕事が一件入っててな」
「……なのー」
 涙目だ。ずるい。
「わかったよ、行けばいいんだろ、行けば。はやて、悪いけど任せてもいい?」
「え、あ。いや、……」
「はやてちゃん、だめ?」
「すぐ話つけてくるわ」
 即答だった。はやて……いや、あたしに何が言えるでもないけど、とにかく助かった。このお姫様をどうにかしないといけない。今日は仕事にならないか。
 小さくなってから、なのはは以前より我が侭を言うようになった。元のなのははこんな我が侭なんて言わないし、小さい時だってもっと大人だった。シャマルが言うには、幼い頃押し込めていた反動らしいのだが、もしそうだとしたら悲しい。
 だからあたしたちが付き合っているわけだけど、これが大変だ。嫌じゃないところがまた厄介だ。構ってくれといわれて、構わずにはいられなくさせる魅力を、こいつは持っている。
「ふう。じゃあ行くか」
 なのはの魅力に情けなくも屈したあたしがなのはの手を引こうとすると、どうしてか抵抗された。
 腕を小さな体躯で引きとめようとするなのはに目を向けてみれば、唇をぎゅっと結んで、スバルとティアナの方を向いていた。唐突に、幼く可愛らしい(って何を言ってんだあたしは)視線を向けられた二人は、慌てて姿勢を正す。
「すばるもてぃあなも、いっしょにあそぼー! ふたりのぶんもごはんあるから!」
「ええっ?」
「なのはさんには、副隊長がついているでしょう?」
 そうだ。あたしだけじゃ不服か。
「あのね、ヴぃーたちゃんのことも好きだけど、すばるとてぃあなのことも好きなんだ。だからいっしょにいたいよ?」
「……その」
 顔を赤くして口ごもる二人だが、なのはに諦めるつもりはなさそうだった。あたふたしている二人の手を、なのははとる。小さな手で握る。――それがとどめだった。
「二人もいっしょじゃなきゃ、や。なの……」
 決まったな、とあたしは思った。
 見た目でいえば五歳相当のなのはは、二つに結った髪も短く、何か口にするたびにぴょこんと跳ねる。それがまた胸をくすぐってくるからたちが悪い。笑顔? そんなの言うまでもないだろう。このなのはの笑顔には、以前のままのなのはとはまたちがった魅力がある、なんてのは。
 それでもなのはが涙目で見上げてくれば、どんな堅物だろうと堕ちる。そう、昨日のシグナムがそうだった。普段見たこともない顔で微笑み、なのはの頭を撫でている場面を見てしまった時は、気まずくて隠れてしまったほどだ。もちろん驚きで一瞬漏れた気配を隠しきれず、悟られてしまったわけだけど。そのあとシグナムと久々に本気の決闘をしてしまったが、まあ面白い顔が見れたので悪くない。何よりなのはが嬉しそうだった。
 なのはの言葉のあと、スバルとティアナの反応は早かった。スバルがたまらないといったふうに「はい」と、ティアナが口元を押さえて小さく首肯する。掴んだ二人の心を、なのはは直後に見せた笑顔でがっちりと引き寄せたのだった。
 そんな風景を眺めて、あたしは大きく息を吐く。映るのは、スバルとティアナに両手を繋がれて、嬉しそうにはしゃぐなのはの後姿。
 まあいいか、と思う。
 どんな形であれ、なのはが笑っていられる環境が、あいつのそばにあるならそれでいい。

 スターズ分隊がごそっとなのはの自室に向い、あとに残されたのはやてとフェイト(瀕死)であった。はやてはただ茫然とあたしたちを見送るしかなかった――とは後で、それはそれは恨みがましく聞かされたこと。あたしに言われても困る。フェイトはともかく、はやてには抗えないからなおさら困る。
 こういうのが、もう二週間も続いていた。いつまで続くんだろう、とあたしは考える。仕事に支障が出ないとも限らない。はやてのさぼりも、フェイトの暴走も限度を超えると被害も馬鹿にならない。言ったところであの二人は自重してくれないことも分かっていた。
 部隊長権限で押し付けられた大量の書類仕事に頭を抱えるスバルたちを遠目に眺めながら、なのはの幼い笑顔を思い浮かべる。無邪気な顔をして、今はヴィヴィオときっと遊んでいる。気付けば笑みがこぼれている。もうしばらくはこのままでもいいかと思ってしまったあたしが、おそらくは一番駄目なのだろう。
 机の上にうず高く積まれていく書類を見て、あたしはどこか心地の良い溜息をついてた。



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