消えない夕立ち
らくがきしてたら妄想がとまらなかったので、なのヴィのちょっとしたSSを。
妄想元のらくがき
珍しくヴィータが病んでない。てきとう三人称・会話文多めでお送りします。
短いですが、よろしければ続きよりどうぞ。
消えない夕立ち
道端に、うさぎのきぐるみを着た少女が二人。
通気性の良い素材で編まれた服は、元々の愛らしい容貌をさらに引き立てている。
夏の暑い日に、ちょっとした風鈴代わりのような声。二人は仲良く戯れ合っていた。少なくともなのははそのつもりでいる。もう一人の少女、ヴィータは抵抗しているのだが、問題というほどでもない。
ヴィータだって、口元には隠せない笑みが浮かんでいたのだから。
「ヴィータちゃん」
「んー?」
それは突然の質問。なのははいつだって質問を投げかけてきた。
当然その中にはつまらないことも重要なこともあったのだが。いちいち取り合っていたのでは身が持たないことを経験でしるヴィータは、適当に返事をしつつ歩いていた。
袖に手を通すときは胸が躍ったが、いざ外を歩くとなるとなかなか恥ずかしい。先ほどから何度も指を差されて笑われた。悪意ある微笑みでないのが救いだったのであるが。
「私のこと、好き?」
そこになのはの質問だった。
「……何言ってんだお前」
「いや、そんな明らかに顔をしかめなくても」
「毎日言ってんだろ。好きじゃねーって」
「でも手を繋いでも逃げないでいてくれるし」
「ぐ……」
「なんだかんだでつきあってくれてるし」
「……それは。断るとお前うるさいし」
「ヴィータちゃんが優しいからかな」
「別に。そんなことねーよ」
「そっか」
「ああ」
「にゃはは。そうなんだ。うんうん」
「ちっ、含み笑いすんな。決まってんだろ」
何に決まっているのか。疑問に思うなのはだが、話がそれそうだったのであえて聞かない。
「じゃあ、質問変えるね」となのははヴィータに向かって言う。いつの間にか手をつながれていたことに、ヴィータはその時初めて気がついた。
しかし指摘するのも負けたような気がして躊躇われた。何より、別段嫌でもなかった。
「うさぎさんのこと、好き?」
「へっ。お前には珍しくいい質問だ。うさぎはアイスと同じくれー好きだな」
「はやてちゃんにもらったうさぎ以外も?」
馬鹿な質問だ。ヴィータは笑い飛ばす。はやてのはもちろん特別に決まっている。だが。
「そうだな、それ以外のうさぎも好きだぞ」
「それなら」
「なんだよ」
なのははさんざん勿体を付けて、気を引かせるように間を空ける。ヴィータは無意識になのはの言葉に神経が集中していた。だから聞き洩らすはずがなかった。
「うさぎの格好をしたなのはは、好きかな?」
よく聞こえすぎたなのはの言葉は、セミの鳴き声にかき消されることはなく。
「は……?」
ヴィータはひたすらに呆けている。
「ねえどう? 好き? うさぎと私を足したらプラスになる?」
さらになのはが追及してき、ヴィータは頭を抱えたくなった。
何か文句を言ってやりたいのだが、目の前のなのはは諦めそうにない。そして諦めなければいけないのはどうやら自分の方だった。
なのははにこにこと顔を覗き込んでくる。
そんななのはに背を向けると、「うっせー馬鹿なにょは!」と叫び、その場から走って逃げた。顔が赤かったのは悔しかったせいだ、きっとそうに違いない――と結論付けて。
取り残された少女が一人。ヴィータの後姿を眺めながら苦笑する。
――ちょっとからかい過ぎたかな。
既に遠くなったヴィータの小さな背中。跳ねるうさぎの耳と、首元でぱたぱたと振れるフードが可愛らしい。
姿が消えるまで見届けた後、なのははあらためて自身のフードを被りなおした。今更ながらに、掌に残る熱を思い出し、握りしめてみる。そうしていると熱が身体の中に溶けていくような気がする。
平和な夏の午後。少女の胸に一つの思い出を残し、どこにでもあるような風景とやり取りを交わし、一日が終わっていく。今日もまた昨日と同じような日。違うのは掌の熱だけ。
夕立ちみたいに通り過ぎていかない想いに戸惑いながらも、少女は今日の出来事を胸に大切にしまった。
[ WEB CLAP ]
妄想元のらくがき
珍しくヴィータが病んでない。てきとう三人称・会話文多めでお送りします。
短いですが、よろしければ続きよりどうぞ。
消えない夕立ち
道端に、うさぎのきぐるみを着た少女が二人。
通気性の良い素材で編まれた服は、元々の愛らしい容貌をさらに引き立てている。
夏の暑い日に、ちょっとした風鈴代わりのような声。二人は仲良く戯れ合っていた。少なくともなのははそのつもりでいる。もう一人の少女、ヴィータは抵抗しているのだが、問題というほどでもない。
ヴィータだって、口元には隠せない笑みが浮かんでいたのだから。
「ヴィータちゃん」
「んー?」
それは突然の質問。なのははいつだって質問を投げかけてきた。
当然その中にはつまらないことも重要なこともあったのだが。いちいち取り合っていたのでは身が持たないことを経験でしるヴィータは、適当に返事をしつつ歩いていた。
袖に手を通すときは胸が躍ったが、いざ外を歩くとなるとなかなか恥ずかしい。先ほどから何度も指を差されて笑われた。悪意ある微笑みでないのが救いだったのであるが。
「私のこと、好き?」
そこになのはの質問だった。
「……何言ってんだお前」
「いや、そんな明らかに顔をしかめなくても」
「毎日言ってんだろ。好きじゃねーって」
「でも手を繋いでも逃げないでいてくれるし」
「ぐ……」
「なんだかんだでつきあってくれてるし」
「……それは。断るとお前うるさいし」
「ヴィータちゃんが優しいからかな」
「別に。そんなことねーよ」
「そっか」
「ああ」
「にゃはは。そうなんだ。うんうん」
「ちっ、含み笑いすんな。決まってんだろ」
何に決まっているのか。疑問に思うなのはだが、話がそれそうだったのであえて聞かない。
「じゃあ、質問変えるね」となのははヴィータに向かって言う。いつの間にか手をつながれていたことに、ヴィータはその時初めて気がついた。
しかし指摘するのも負けたような気がして躊躇われた。何より、別段嫌でもなかった。
「うさぎさんのこと、好き?」
「へっ。お前には珍しくいい質問だ。うさぎはアイスと同じくれー好きだな」
「はやてちゃんにもらったうさぎ以外も?」
馬鹿な質問だ。ヴィータは笑い飛ばす。はやてのはもちろん特別に決まっている。だが。
「そうだな、それ以外のうさぎも好きだぞ」
「それなら」
「なんだよ」
なのははさんざん勿体を付けて、気を引かせるように間を空ける。ヴィータは無意識になのはの言葉に神経が集中していた。だから聞き洩らすはずがなかった。
「うさぎの格好をしたなのはは、好きかな?」
よく聞こえすぎたなのはの言葉は、セミの鳴き声にかき消されることはなく。
「は……?」
ヴィータはひたすらに呆けている。
「ねえどう? 好き? うさぎと私を足したらプラスになる?」
さらになのはが追及してき、ヴィータは頭を抱えたくなった。
何か文句を言ってやりたいのだが、目の前のなのはは諦めそうにない。そして諦めなければいけないのはどうやら自分の方だった。
なのははにこにこと顔を覗き込んでくる。
そんななのはに背を向けると、「うっせー馬鹿なにょは!」と叫び、その場から走って逃げた。顔が赤かったのは悔しかったせいだ、きっとそうに違いない――と結論付けて。
取り残された少女が一人。ヴィータの後姿を眺めながら苦笑する。
――ちょっとからかい過ぎたかな。
既に遠くなったヴィータの小さな背中。跳ねるうさぎの耳と、首元でぱたぱたと振れるフードが可愛らしい。
姿が消えるまで見届けた後、なのははあらためて自身のフードを被りなおした。今更ながらに、掌に残る熱を思い出し、握りしめてみる。そうしていると熱が身体の中に溶けていくような気がする。
平和な夏の午後。少女の胸に一つの思い出を残し、どこにでもあるような風景とやり取りを交わし、一日が終わっていく。今日もまた昨日と同じような日。違うのは掌の熱だけ。
夕立ちみたいに通り過ぎていかない想いに戸惑いながらも、少女は今日の出来事を胸に大切にしまった。
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● COMMENT FORM ●
お久しぶりです!
>凛さん
妄想は私もよくしますよ~。
主になのはさんのことで、むしろ日常茶飯事的にしてますw
映画化については、どうかなと。無印のパラレルということなんですが、とりあえずカッコイイなのはさんが見られれば。
アリサとか省かれてそうで、その辺は不安なのですが、まあ。
もし全国でなくても、DVD買えば問題ないかななんて思っていますよw
妄想は私もよくしますよ~。
主になのはさんのことで、むしろ日常茶飯事的にしてますw
映画化については、どうかなと。無印のパラレルということなんですが、とりあえずカッコイイなのはさんが見られれば。
アリサとか省かれてそうで、その辺は不安なのですが、まあ。
もし全国でなくても、DVD買えば問題ないかななんて思っていますよw
あぁ、この前の事については、気にしないで下さい。自分、時々空想(妄想?)をしてしまう事があるので。まぁ、そんな奴なんだ、ぐらいに思って頂ければいいと思います。
それでは、なのは映画化のニュースに物凄く喜んでいる今日この頃の凛でした。
PS.でも、なのはの映画って全国でやってくれるんでしょうかねぇ?近場でやってくれるなら、そりゃもう、休みになったら真っ先に飛んでいきますが(笑)