2017-06

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なのはへ。

「フェイト→なのは」で。小説とは少し違う、というかなんというか。
読むと分かると思います。短い話ですので。というよりタイトルでわかるかな。

もしよろしければ続きよりどうぞ。



 なのはへ。


 こんばんは、世界で一番いとしい人。
 日付が変わった瞬間に思わず目を閉じたよ。特別アラームをかけていたわけじゃなくて、ただ携帯電話を握りしめて、それから掛け時計に目をやった。たしかに両針ともが頂上にあった。ああ、これはなんて言うんだろう。言葉にしようのない思いが口の中に溜まったよ。でもきっとその思いは吐き出されることはないんだろうね。
 出会ってから君はいつも私に笑顔を与えてくれた。君と居る時の私の顔を自分では当然見られないんだけど、アリサに言われて気付いたんだ。笑っているって。驚いたよ。そりゃあ不機嫌そうな顔をしているとは思わなかったけど、あまり表情を出すことはできないと思っていたから。以前アルフに言われてね、これは生まれつきのものかなあと諦めていたところがあるんだ。でも違った。
 きっとだらしない顔で笑っているんだろうな、君の隣にいる私は。だって私に耳打ちするときのアリサは激しい雨を見ながら雨が降っていることに気付かない人を笑うように、呆れた顔で言っていたから。それだけ私が君といて笑うということは当たり前のことだったんだ。でもちょっとそれからしばらく恥ずかしくなったな。いつも君といるときに笑顔なんて、なんか見っとも無いように思えてね。それでも一緒にいたのは、自分の見っとも無いっていう気持ちよりも一緒にいたいという気持ちの方が勝ったからだけど。
 ねえ、そういえば君はおとといどうしていたんだろう。教室で君は泣いていた。もちろん誰もいない、一人だった。君は誰の前でも泣かないということをつい最近気づいたんだ。もう六年近くも一緒にいるのにね、今まで分からなかった。君はうまく隠すから……いいや、それは言い訳だね。ごめん。でも君が人前で泣いたのは、もしかしたら私たちの始まりのあのときだけかな、なんて考えると少し嬉しかったりするんだけどそんなことはないのかな。アリサとすずかの前で、それかはやての前でも泣いたりした? もしそうだったらいいのに。
 私の前で泣いてくれないことは悲しい。けれど君が一人で泣く方がよっぽど私は悲しいよ。夕暮れの空が君と一緒に泣いていたのは、せめての気持ちなんだろう。君は空に想われている。君が空を想っているように、君も空に想われている。君と空の二人の世界があの日の教室に築かれていて、私は介入することができなかった。夕暮れの空よりも君を慰めることができる自信がなかった。
 今こうして君に手紙を書いているのはただ私の想いというものを伝えたかったからなんだ。この世界では携帯のメールよりも手紙の方が人の心に届きやすいと教えてもらってさ。それにプレゼントと一緒に不自然なく渡すことができる。だから私はこの手紙を書いている。そして君はこれを読んでくれていると信じている。
 考えたんだ。君を慰めることができないなら、頼ってくれるような人間になりたいって。そうすれば私は君の心をいやせないまでも、泣く場所を与えることができる。頭を撫でて上げられる。一人の君の傍に行って泣きじゃくるその小さな頭をなでられるほど、私は強くはなかった。自分こそが泣いてしまいそうだった。君が悲しいと私も悲しい。
 どうだろう、私の胸の中を泣き場所にしてくれないかな。このままだと「いとしい」を「愛しい」と書くことができないんだ。私はね、愛は君が受け入れてくれてからようやく書いてもいい字だと考えているんだ。合っているよね。
 海の見える公園でお互いに名前を呼び合ったように、泣きたくなって思い出した場所として私の隣が浮かんだその日に改めてまた手紙を出すよ。

 なのはの涙を、このちっぽけな指ですくうことができますように。

 ――フェイト・テスタロッサ・ハラオウン



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