2017-06

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月が堕ちてきた

かなり短い話。
一応ティアナとなのはで、二人称、パラレル。
たまには遊んでもいいよね。小説(みたいなもの)なんだから。



 月が堕ちてきた


 語りかけてくるその人を見て、それが夜だったと君は記憶している。

「私はあなたを護ることができなかった。けれどもこれから幾度となく生まれ変わって、いつかあなたと再び出会えたとき、その時は必ず護るよ。あなたと、あなたを護る私を。だって私が死んだらあなたが泣いてしまうから。あなたが死んだら私は涙を流し、乾ききってしまうから。そこには幸せなんてものは微塵も生まれようがないんだ。だから、あなたと私。二人は一緒じゃないといけない」
 君は頷く。
「月が綺麗だね。あなたの住む世界だ……私のお姫様。私の元に堕ちてきてしまったお姫様。最後にあなたの唇を覚えておきたい。次に会ったとき、迷うことのないように」
 君は頬に柔らかな手を添えて、ゆっくりと唇を合わせる。血の味がする。世界がそこで終わる。白い光の降り注ぐ荒野と、崩れおちる宮殿。瓦礫に埋もれるように二人は沈んでいく。取りあった手が離れても、相手のぬくもりは手放さない。幾度も生まれ変わり、巡り合わずに一生を終えてまた生まれてくる。君にとっては実に無為な時間だったことだろう。

 しかしやがて君は再び出会う。運命のその人と。

 君は日常をやり過ごすための学校に通っていた。新学期、後輩に用があった君は階段を昇り、夕暮れの教室に向かう。窓辺でその人は黄昏に浸り、ぼんやりと空を眺めていた。美しい横顔に君はどうしてか惹かれた。いいや、疑問などなかったのかもしれない。君は、本当はすぐにその人だと分かった。その人は女性で、君もまた女性であったけれど、自分を護ると誓い、血の味のする唇を優しく合わせた人だ。
「だからそんなのは問題じゃない。ねえ、なのはさん。そうですよね」
 君はゆっくりと頷く。あの月の光を受け、銀朱に輝いていた髪を二つに結った少女のきつい抱擁を受ける。
「やっと会えたんですね」
「うん、そうだね。わたしもすごく会いたかった――ティアナ」
「もうあなたと会うまでのことを思い出せないくらい」
「わたしも」
 そして君たちは結ばれる。深くて深い結び付きだ。永遠に綻びが出来ないと君は思っていた。
 でも寿命はいつか尽きる。無理やり奪われようと、奪われまいと。
 だが君はその人と一緒にいつまでもいたいと思う。どうすればいいのかと君は真剣に悩んだ。言葉を伝え体を重ね、それでも足りないのはどうしてだろう。そして一緒に居るためには?
「愛してる、だから」
 魂をつなげよう、と少女は言った。君も強く同意する。つまりそれしかない。
 月が満ちる夜に君たちは手を取り合い、この世界での最後の口付けを交わす。唇の皮を破り、血の味をお互いに確かめ合うことで儀式の始まりと終わりを同時に迎える。
 そうして君たちの魂は永遠に繋がりあった。月の光を全身に浴びながら、君たちは二人だけの世界にいく。そして抜けがらとなった世界に太陽がのぼり、夜が明ける。




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