その境界線は。
高町なのはを全力全開で愛していく。そんな小説を書いてます。
月明かりよりも頼りない、 2007/09/05
2008.03.01加筆修正。タイトル変更。
いろいろとおかしかったので……。
はじめてのなのティア。
もしよければ続きよりどうぞです。
月明かりよりも頼りない、
18話妄想SS
機動六課は崩壊した。
宿舎などは煙すら上がっていないが、元あった形を知っている自分は胸がすくような気分になる。しかし仕事はこなさなければならない。例え何があっても、どんな心配があっても。――子供が攫われても、あの人みたいに事務的にこなさなければ。
私はちらりと彼女に視線をやった。なのはさんは顔から色を消して作業についている。
直接声の一つでも欠けたかったが、今のあの人にはただわずらわしいだけなのだろう。しかし必要事項というものはある。私はこれから病院に向かわなければならない。だから念話を繋がなければならないんだけど――。
わずかな躊躇いがそこに生まれていた。
放っておけない、おきたくない。それでも病院に向かう足は止めてはいけなくて。止まらなくて。私のそんな気持ちなどきっとあの人にとってはどうでもいいことに違いないのに、私は若干の緊張を込めて念話を繋いだ。
「なのはさん、少しよろしいですか?」
聞こえて来たのは冷淡な響き。
「ああ、何」というなのはさんの声に、しかし怯むわけにはいかない。なるべく感情を込めず、あくまでも事務的に告げるのだ。それがおそらく、彼女にとってい一番負担が少ないはずだから。だから傷ついてなんていられない。
「これから病院にいってきます」
「うん、分かった」
私は彼女の声(たとえ疑似的なものだとしても、それはなのはさんの声に違いないのだ)を聞きたくて念話を引き延ばそうとするけど、なのはさんの声がそれを許さない。時間も迫っている。
そしてなのはさんは、これで話は終わりとばかりにとどめめを刺した。「了解」と。分かったよと。ただの肯定の返事でしかないのに、何故かそう感じてしまった。
だから私は言葉を続けてしまったのかも知れない。
「あ、あの」
「なに」
ただ何も考えていなかったから、言葉は続かなかった。
「話がないなら、もういいかな」
「あっ、……わ、私すぐに戻ってきますから!」
「そう。行ってらっしゃい」
「……はい、いってきます」
念話が途切れると、やけに静寂な世界に包まれた。いや、騒がしすぎて静かというのだろうか。それは自分には判りようもなかったけれど、その時の私には足をただ動かすという権利しか与えられていなかった。なのはさんのもとへ行く権利などなかった。
スバルが心配。なのはさんが心配。
――まったく。
私は自分自身に溜息をつかざるをえない。
見舞を早めに切り上げようとしたが、実際にスバルの様子をみてしまえばそんなことできるはずもなく。思ったよりも時間が進んで、面会時間ぎりぎりまで居てしまった。なのはさんがもしかしたら、こうなることを見通して「すぐ戻ってくる」という私の言葉を冷たく受け止めたのかもしれない。……いや、それは自惚れか。
既に辺りは暗い。私はなのはさんを探しに、外を歩くことにした。
しばらく歩いていると、ふと暗闇でもそれとわかる彼女の背中を見つけた。私はあの人の背中だけは見違うこともない。長い特徴的な髪をしているからではない。なのはさんだから、私は見つけられる。
だが声をかけようとして、ふと思いとどまる。金色の髪をした人物がなのはさんに近づいていることに気付いたのだ。
「なのは」と。その人は柔らかく、心底から愛しそうになのはさんを呼んだ。
振り向くなのはさんの表情にいつもの笑顔はなく、喪失した感情を掴もうとしておとしてしまったみたいに、その人を見上げた。
それから小さく交わされる語らい。金髪の人の胸に飛び込むなのはさんの姿。その肩を支え、私の大好きな背を包む人は――フェイトさん。
二人の空気は近寄る事を許さず、それ以前に部下である自分が容易に上司達のプライベートに入り込んでいいとも思えなかった。
私達の前でこそ平常にしているが、なのはさんがフェイトさんを目にしたとき零れるものは押さえきれるものではなく。他の誰が気付かなくても、私は気付いてしまった。
二人の間柄というものを。
涙を浮かべ、フェイトさんに抱きつくのは、私の大好きな人。
その光景がなによりも悲しくて、自分が不甲斐無くて泣けてくる。悔しくて、どうしようもなくて、もう見ていられなくなった。私はやはりあの人には勝てないのだ、と改めて気付かされる。だって私は初めて見た。あの人の涙というものを想像すらしたことがなくて、だというのに、こうして眼前につきつけられればそれは当然のようにそこにある。なのはさんは無敵でも最強でもない。エースオブエースなのは間違いないけど、それは弱い部分が全くないというわけではないのだ。そんな当たり前のことに、私はどうして気付かなかったのか。
「なのはさん、ごめんなさい」
知らずの内に自らの拳は痛いほど握り締められていた。それでも痛覚を感じない。血はこんなにも色んな場所から滴れているというのに。痛くない。痛いのはなのはさんだ。私じゃない。
私じゃ、ない。
「ごめんなさい」
最後に一言だけ心の中で呟いて。私は踵を返した。
あの人に必要だったのは、きっと何も考えず、ただ力強く抱き締める人だったのだ。
ぐだぐだと考えた言葉じゃない。行動だった。でもそのことに気づいた時にはもう遅かった。
いずれにせよ私にはなのはさんを抱きしめる権利などなかったのだ、と思い知らされた。それではなのはさんも頼ってくれないだろうな、とこっそり自分を嘲笑う。そうすることで私は涙を堪えた。
今涙を流しても、きっと自己満足に終わってしまうだろうから。
月が二つあった。それは淡くあの人の肩に降り注いでいた。
× あとがき ×
ティアナとなのはが、例えばお互い好き合ったとしても結ばれない気がしてならない。
だからなのはがフェイトとすきあっているならば、なおさらティアナは報われないけど、ある意味で傷つかなくて済むから、長い目で見たらいいのかもしれないと何となく思うこの頃である。
うん、まあどうでもいい話なんだけど。StSの一話を見たときから何故かなのスバよりもなのティアがいいと思った自分は……、きっとおかしいんだと思うよ。
いろいろとおかしかったので……。
はじめてのなのティア。
もしよければ続きよりどうぞです。
月明かりよりも頼りない、
18話妄想SS
機動六課は崩壊した。
宿舎などは煙すら上がっていないが、元あった形を知っている自分は胸がすくような気分になる。しかし仕事はこなさなければならない。例え何があっても、どんな心配があっても。――子供が攫われても、あの人みたいに事務的にこなさなければ。
私はちらりと彼女に視線をやった。なのはさんは顔から色を消して作業についている。
直接声の一つでも欠けたかったが、今のあの人にはただわずらわしいだけなのだろう。しかし必要事項というものはある。私はこれから病院に向かわなければならない。だから念話を繋がなければならないんだけど――。
わずかな躊躇いがそこに生まれていた。
放っておけない、おきたくない。それでも病院に向かう足は止めてはいけなくて。止まらなくて。私のそんな気持ちなどきっとあの人にとってはどうでもいいことに違いないのに、私は若干の緊張を込めて念話を繋いだ。
「なのはさん、少しよろしいですか?」
聞こえて来たのは冷淡な響き。
「ああ、何」というなのはさんの声に、しかし怯むわけにはいかない。なるべく感情を込めず、あくまでも事務的に告げるのだ。それがおそらく、彼女にとってい一番負担が少ないはずだから。だから傷ついてなんていられない。
「これから病院にいってきます」
「うん、分かった」
私は彼女の声(たとえ疑似的なものだとしても、それはなのはさんの声に違いないのだ)を聞きたくて念話を引き延ばそうとするけど、なのはさんの声がそれを許さない。時間も迫っている。
そしてなのはさんは、これで話は終わりとばかりにとどめめを刺した。「了解」と。分かったよと。ただの肯定の返事でしかないのに、何故かそう感じてしまった。
だから私は言葉を続けてしまったのかも知れない。
「あ、あの」
「なに」
ただ何も考えていなかったから、言葉は続かなかった。
「話がないなら、もういいかな」
「あっ、……わ、私すぐに戻ってきますから!」
「そう。行ってらっしゃい」
「……はい、いってきます」
念話が途切れると、やけに静寂な世界に包まれた。いや、騒がしすぎて静かというのだろうか。それは自分には判りようもなかったけれど、その時の私には足をただ動かすという権利しか与えられていなかった。なのはさんのもとへ行く権利などなかった。
スバルが心配。なのはさんが心配。
――まったく。
私は自分自身に溜息をつかざるをえない。
見舞を早めに切り上げようとしたが、実際にスバルの様子をみてしまえばそんなことできるはずもなく。思ったよりも時間が進んで、面会時間ぎりぎりまで居てしまった。なのはさんがもしかしたら、こうなることを見通して「すぐ戻ってくる」という私の言葉を冷たく受け止めたのかもしれない。……いや、それは自惚れか。
既に辺りは暗い。私はなのはさんを探しに、外を歩くことにした。
しばらく歩いていると、ふと暗闇でもそれとわかる彼女の背中を見つけた。私はあの人の背中だけは見違うこともない。長い特徴的な髪をしているからではない。なのはさんだから、私は見つけられる。
だが声をかけようとして、ふと思いとどまる。金色の髪をした人物がなのはさんに近づいていることに気付いたのだ。
「なのは」と。その人は柔らかく、心底から愛しそうになのはさんを呼んだ。
振り向くなのはさんの表情にいつもの笑顔はなく、喪失した感情を掴もうとしておとしてしまったみたいに、その人を見上げた。
それから小さく交わされる語らい。金髪の人の胸に飛び込むなのはさんの姿。その肩を支え、私の大好きな背を包む人は――フェイトさん。
二人の空気は近寄る事を許さず、それ以前に部下である自分が容易に上司達のプライベートに入り込んでいいとも思えなかった。
私達の前でこそ平常にしているが、なのはさんがフェイトさんを目にしたとき零れるものは押さえきれるものではなく。他の誰が気付かなくても、私は気付いてしまった。
二人の間柄というものを。
涙を浮かべ、フェイトさんに抱きつくのは、私の大好きな人。
その光景がなによりも悲しくて、自分が不甲斐無くて泣けてくる。悔しくて、どうしようもなくて、もう見ていられなくなった。私はやはりあの人には勝てないのだ、と改めて気付かされる。だって私は初めて見た。あの人の涙というものを想像すらしたことがなくて、だというのに、こうして眼前につきつけられればそれは当然のようにそこにある。なのはさんは無敵でも最強でもない。エースオブエースなのは間違いないけど、それは弱い部分が全くないというわけではないのだ。そんな当たり前のことに、私はどうして気付かなかったのか。
「なのはさん、ごめんなさい」
知らずの内に自らの拳は痛いほど握り締められていた。それでも痛覚を感じない。血はこんなにも色んな場所から滴れているというのに。痛くない。痛いのはなのはさんだ。私じゃない。
私じゃ、ない。
「ごめんなさい」
最後に一言だけ心の中で呟いて。私は踵を返した。
あの人に必要だったのは、きっと何も考えず、ただ力強く抱き締める人だったのだ。
ぐだぐだと考えた言葉じゃない。行動だった。でもそのことに気づいた時にはもう遅かった。
いずれにせよ私にはなのはさんを抱きしめる権利などなかったのだ、と思い知らされた。それではなのはさんも頼ってくれないだろうな、とこっそり自分を嘲笑う。そうすることで私は涙を堪えた。
今涙を流しても、きっと自己満足に終わってしまうだろうから。
月が二つあった。それは淡くあの人の肩に降り注いでいた。
× あとがき ×
ティアナとなのはが、例えばお互い好き合ったとしても結ばれない気がしてならない。
だからなのはがフェイトとすきあっているならば、なおさらティアナは報われないけど、ある意味で傷つかなくて済むから、長い目で見たらいいのかもしれないと何となく思うこの頃である。
うん、まあどうでもいい話なんだけど。StSの一話を見たときから何故かなのスバよりもなのティアがいいと思った自分は……、きっとおかしいんだと思うよ。
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