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2019-07

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『横顔』

スピノザ様より、一万HITのお祝いにと小説を頂きました。
ヴィータ→なのはです。
ヴィータ一途すぎ。。可愛いすぎ。

それでは続きよりどうぞ!
『横顔』



「あれ、ヴィータ?」


こりゃまた意外な場所で会ったもんだ。とあたしが思う。
ちらりと一瞬視線をやれば、彼女も同じ目であたしを見ていた。


「ひとりで来たの?」


彼女は笑いながら、あたしの隣のシートに座る。
不意に心臓が高鳴って、重たいハンドルから手が離れた。
カーブを曲がり切れずに―――ゲームオーバー。


「おい、テスタロッサ!レース中に話しかけんなよ!」

「ごめんごめん」


困ったように笑って肩を竦める。


「ったく・・・・。それよりテスタロッサこそ珍しいんじゃねぇの?ゲーセンに来るなんて」

「うん。近くに買い物に来たんだけど、ヴィータがここに入ってくのが見えたから」


キレイに笑いながらシートに座りなおし、ポケットから何枚かの硬貨を取り出した。


「おごるよ。―――お相手願えるかな?」


彼女は誰かさんの大事な王子様で。
そして、あたしの最強最大の敵。

まったく、願ってもない大チャンスだ。


「喜んで」


――――ぶっ潰してやる















「よく、ひとりで来るの?」


レース中に話しかけるな、ってさっき言ったばかりなのに。
でも今はお互い同じ状況だし、ここでそんなこと言ったら「なに必死になってるの」って感じで悔しい。
だから、仕方なくあたしは答えた。


「来ねーよ。ただ・・・今日は、運命試しに来たんだ」

「運試し?」

「う・ん・め・い・だ・め・し」

ハンドルをきりながら、やかましいゲーセンでもよく響くように叫んだ。
きききぃっと、タイヤの擦れるリアルな音がヒステリックに重なる。
彼女が一瞬、あたしの方を見たのが分かった。

余裕見せてる場合じゃねーぞ。

アクセルベタ踏みでコーナーを曲がり切る。
テスタロッサの乗る黒い車が後ろに流れていった。


「なに?それ」


慌てず騒がず呑気な態度。
完全に距離の開いたふたつの赤の点滅をみてから、彼女を真似て横に目をやる。
予想通りの涼しげな顔。

殴りたい衝動がこみ上げてくる、あたしはどこかおかしいんだろうか。

目の前の画面に視線を戻すと、距離は少しだけ縮まっていた。


「・・・・あたしに勝てたら、教えてやってもいいぜ」


子供じみてるなと思ったけど、安っぽい挑発を投げかけた。
彼女が笑う。


「よし、じゃあ頑張ろうかな」


そう言った彼女の横顔を想像する。
やっぱり殴りたくなった。


――――あたしはどっかおかしいんだ。
















「テスタロッサって、まさにアレだな。ほら、何だっけ・・・・『殴りたい横顔』?」


たしか、はやての本棚のなかにそんなタイトルの本があったはずだ。
読んだことはもちろんないけれど。


「・・・・『蹴りたい背中』だよ、ヴィータ。それより、勝ったんだから教えてよ。運命試しって?」


忍耐強い笑顔は、張り付いたみたいに完璧で、あたしの心は冷静になる。
冷静になって、取り返しがつかないくらいに冷えていく。

こうやってあたしは、こいつに勝てないんだ。


「・・・・約束もしないで会えたら、運命的だろ」


ほら、理解できるか?
わざと説明不足な言葉を投げつけて、意味なんて知らない、とそっぽを向くように。もういっそ、どこまでも子供じみた真似をしてやる。
おまえがあたしをそんな風に扱うなら。
おまえがあたしを、対等とも思わないなら。


「・・・あー、なるほどね」


すべてを承知したような顔で、彼女は苦笑した。
















「あれ?なんか珍しい組み合わせだね」


唐突に、あったかい声。


「なのはこそ、こんなとこに来るなんて珍しいんじゃねーの?」


少しの笑顔を繕って、言った。


「んー、なんとなく、ふらふらぁっとね」


首を傾げながら言うなのはを見ながら、テスタロッサがあたしにだけ聞こえるような声で囁いた。


「運命かな?」


無神経な女だ。
失笑を漏らしながら、あたしも彼女にそっと囁く。


「テスタロッサがいた時点で、あたしの運命試しは終わってんだよ」


彼女は、おまえに惹かれてきたのだから。
・・・・ある意味で、なんて運命的な構図なのだろう。


「二人でなにこそこそしてるのかなぁ?」


飛びついてくるなのはが、少し滲んで見えた。
テスタロッサが笑っている。

あたしは、冷凍庫にでも入れられた気分だった。


「なんでもねーよ、なのは。なのはの王子様取るほど、あたしもバカじゃないっての」

「べ、べつに、そんな・・・えっと、・・・・・」


真赤になったなのはに、作り笑い。


「はいはい。・・・・さーて、あたしもそろそろ帰っかな」

「え?一緒に遊ばないの?」

「バーカ、お前らの邪魔すっかよ。ってか、イチャイチャっぷり見せつけられるのも疲れるし」

「なんかトゲあるなぁ」

「気のせい気のせい。じゃ、またな」


不審そうななのはを軽く笑い飛ばして、入口に向かって歩き出す。

振り返るとき、テスタロッサがなのはに笑顔で話しかけるのが一瞬見えた。


「なのは、明日は休みだし、うちに泊まりにおいでよ」

「え?」

「最近忙しかったし、久しぶりに、ね?」

「うん!いくいく!あ、じゃあお母さんに電話を・・・・」


背中越しになのはの嬉しそうな声が聞こえてきて、無意識に手をぎゅっと握りしめる。

―――そんな、嬉しそうにすんなよ

なんて、本人には決して言えないようなことを考えながら透明のドアに手を伸ばす。触れる前にドアが開いた。


「楽しかったよ。また相手してくれるかな?」


斜め上に視線を馳せる。シャツの袖から覗く、細いけれどあいつを包み込める腕。


「ああ、勿論」


言うと同時に、振り返りざまの右ストレート。
手加減なしの本気だったのに。


「・・・・・何度でも相手してやるさ」


あたしなんかより大きな掌の中に、真っ正直に突っ込んだ自分の右の拳を眺めながら、唇を噛み締めて言う。
彼女はやっぱり、手馴れた様子で笑うだけだった。


「私はいつか、君に殺されそうだね」


失礼な。殴るだけで許してやるよ。
















「あ、ヴィータ。こんなとこにおった。はよ帰ってこ・・・・な・・・・」


元気良く掲げられていた手が、静かにゆっくりと降りていくのを、半ば呆然と見ていた。


「・・・・えーと、どした?なんかあったん?」


ゲーセンを出るなり遭遇したはやては、体いっぱいに気遣いが満ちていて、どっかの無神経カップルにも見習ってほしいと思う。


「勝ち目の無い相手にケンカを売って、負けてきた」


はやてが「あー」と、察したように溜息をついた。
さすが我が主。
ていうかやっぱ、分かりあえる仲間って良い。

そう、あたしたちは仲間。
叶うことのない恋をしているんだ。
二人ともあいつのことが好きで好きで、でもその想いは届くことがなくて。


「無茶、したらあかんよ」

「もう無茶した。つかヤバいよはやて。あたし、マジで泣きそう」


はやてが、つらそうに眉を顰めた。


「・・・・・もう泣いとるよ」


言われて初めて自覚する。


やっかいなほどに止まらない涙と、好奇心旺盛な道行く人たちとの間に、はやてが黙って立ってくれていた。
その胸にもたれたい気になって、そうした。
彼女の手が、ぽんぽんとあたしの背中を静かなリズムで叩く。


「あいつの笑顔が好きなんだ。あいつの幸せがあたしの幸せだから。でも、そしたら隣のやつもセットなんだよ。それはちょっと嫌なんだ」


「うん」と、肯定も否定もなく、はやてが受け入れる。
あたしはその優しさに甘えて、いってもどうしようもないことを、それでも言った。
矛盾を言った。


「でも、テスタロッサでなきゃもっと嫌なんだ」

「・・・・うん、そやね」





あたしからあいつを奪う、お前を決して許さないけど


あいつを笑顔にするのはお前だから。




それでもやっぱり永遠に、殴りたい横顔。








☆あとがき☆

相手がフェイトじゃなかったらもっと嫌。
フェイトのこと認めてるけど、やっぱりなのはのことが大好きなヴィータでした

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