2017-10

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虚空の紅玉

レイジングハート×なのはです。
レイハさんとなのはは管理局(クロノとエイミィ)が認めるほどの相思相愛と(映画版の漫画で)分かりました。のでそんな感じで。
リリカルなのはの劇中でなのはさんに初めて惚れたのはレイジングハートだと思います。

ちょっと文章固いかな?そんなことないかな、レイハさんだし。
では、続きよりどうぞ。




 虚空の紅玉


 彼女が初めて出会ったのは高町なのはだった。もちろんそれ以前の記憶もあるけれど、初めて小さな手でいっぱいに受け止めようと両手を広げて迎えてくれたのは彼女以外になかった。赤い宝石が映し出した小さな姿。色も知らぬ無機物の存在に過ぎなかった彼女を、本物の心をもつ者へと変貌させた。
 レイジングハートが造られた研究所で、彼女は無機物でありながら人に似たデバイスとして扱われていた。見た目はまったくの機械であるのに、どうしても虚空を抱えた少女に見えたのだ。だが彼女がいくら人間らしかろうと、人間味までは感じられなかった。無類で、誰も求めず誰の元にも行かないのだと告げているような輝きが、研究所で生まれた頃すでに永遠の孤独を演出していた。
 だから彼女の空虚を埋められる存在が現れることを、彼女を造った人物は手放す最後の瞬間まで想像がつかなかった。
 そんな彼女も、今では唯一無二の主を見つけている。優しい蒼の瞳に、強い意志を称えたわずか九歳の少女がそうだ。高町なのはもまた、彼女と同じように空虚を抱えていた。なのはの真っ直ぐすぎる情熱が表に表されることもなく、またそんな性格でもなくて、探しても見つからない焦燥感とともに少女を空に一番近い場所へと駆け上がらせた。学校の屋上で少女は叫ぶ。言葉なき想いを。吐き出そうとしてものどを通ってくれない想いを。レイジングハートと出会ったあとでも、なのははたまに寂しい顔をした。けれどレイジングハートはそんな少女のことをいとおしいと思うのだ。
 このレイジングハートが、魔法と関係のない世界の住人だった幼子を主と決めたきっかけなどというものは存在しない。お互いがお互いを見つめた瞬間にそう決めてしまっていた。
「おいで、レイジングハート」
 そう彼女の頭の中に響く。視線が合えば自分のすべてがなのはのものになったような錯覚がした。
 信じるよ、と。およそ幼子がするような顔でなく言われれば、オーライと返すだけ。それで彼女は、こうなったのは決して貴女のせいではないのだと分からせてあげたかったのだ。レイジングハートは口がうまくない。必要以上のことを話さない。それでもなのはには伝わった。愛しい主。私の必然――。
 デバイスと魔導師との間で大切な信頼関係など、出会って数週間もすれば自然と築き上げていた。
 今日も夜になると彼女はジュエルシード探しにと出かけているなのはに寄り添った。たくさんの想いをこめた力でぎゅっと握り締めたあと、彼女に託すかのように彼女に唇を乗せ、紐を通すと首に下げた。さくらんぼにキスをするよりずっと扇情的なその様子も二人には無関係で、いつまた出遭うとも知れない金色の魔導師を懸念する少女を、レイジングハートは慰めた。言われる前に防護服を身にまとう。思うのと同時にバリアを展開する。ようやく慣れてきた戦闘だったが、やはり闖入者は現れた。
 レイジングハートはできれば出会いたくなかった。あの魔導師は少女を悲しませる。相当の力を持って、なのはを攻撃してくる存在が、彼女は疎ましかった。できるならば少女の前に立ち、すべての攻撃を防ぎたいところだけれど、あいにくそこまでの行動は許されていない。できるのは少女が命じ、その通りに行動することだけだった。
 けれど、それでも十分だ。
 少女はひとつ戦を乗り越えるごとにどんどん強くなっていく。もともと膨大な魔力の持ち主が、そのうえ努力でもってして才能まで開花しようとすれば強くならないはずがないのだ。今、なのはの身体は日常的に魔力に縛られている。拘束具のように、ぎちぎきと身体を締め付けているだろう。全身に張り巡らされた魔力のギプスは普通の生活さえ困難にするほどの苦痛を強いているはずだったが、おおよそ少女はそんな素振りを見せなかった。慣れない魔法は、使わなくても少女の精神力を消耗させていた。その上での戦闘。友人の前で疲れた顔を隠すのにも限界がある――それでも少女は訓練もジュエルシード集めも止めなかった。
 だからレイジングハートも最大限の礼儀をもって協力する。だから、この魔導師をいつか退けることができると信じられる。そうして彼女は、なのはの一番の信頼者となる。大切な決戦のとき、窮地の狭間で主から防御のすべてを任されるということで……。
 魔力を空にしながらも勝利をつかむ主を見て、彼女は考えるのだ。少女とこうしてずっと共に進み、守っていけたらと。

 桜の青い葉が枯れ落ち、細い枝ばかりになった頃、季節が冬へと突入していた。早朝外に出るにはもう薄手のシャツだけでは寒すぎる。小麦色のパーカーをハイネックの上から羽織ると、主は毎朝のように彼女を首にかけた。
「そろそろいこっか」
 出会いの春から夏に、そして冬に。季節が移ろっても少女との距離は変わらなかった。もともと一時的な所有権しかなかった少女が、レイジングハートを永久のパートナーにできたのは、もともとの主とも呼べぬただの発掘者がそれを認めたからである。
「もうそれはなのはのものだよ」と自らをなのはの元へ運んだ少年は言った。「そうなんだよね?」
 力を持たぬただの少年と思っていたが、こういうことは分かるらしかった。既に彼女は高町なのはの所有物であったし、ずっと以前から主と認めていた。はっきりと言えるようになったのは今少年が所有の在り処を明言したためであるが、もとよりレイジングハートが初めて所有者と認めたのはなのはであった。
 誰からも使用者登録を受け付けず、待つでもなく孤高を演じているわけでもなく、ただ主と認めるような人物がいなかった。自分が人によって作られたデバイスだという自覚はあったがしかし、護りたいと思える人物に出逢えたことがなかった。採掘者のユーノはただの発見者である。少年からは何も感じたことがない。
 だからこそ、魔法を知らぬ高町なのはを選んだのは、知識や組み込まれたものとは一切関係がなかった。
 レイジングハートは生まれた時から独りだったような気がした。人に造られながら人を主と認めぬ自分が、周りに適応できぬ頑固な心が、やがて不屈の心などと名づけられたところで虚無感は失われなかった。
 けれどなのはに出会い、彼女のそういった様々なしがらみが無関係に散っていった。小さくて大きな両腕が、彼女を迎えてくれたその時から。

 主の掌の上で優しくキスを受けて、レイジングハートは少女の身体に防護服を纏わせる。彼女は形態を変えながらいつものようにじっと主を見つめた。分かるはずもないのに、主はふいににっこりと笑い、一緒に頑張ろうね、と自らを包んだ。
 今日も訓練がはじまる。主が愛する空を飛ぶ、その手伝いのできる幸せがまた始まろうとしていた。



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なのはさんをめためたに愛し、いじめていきます。

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