掌で心をころがして       2007/10/08

ヴィヴィオはきっとフェイトと同じくらいなのはを溺愛してしまうと思う。
名のとおり溺れるに近い。
そんな15歳ヴィヴィオ×なのはです。
某所で素敵なヴィヴィオとなのはの絵を拝見しまして。
もう書いちゃえ、いやっほい!ってことで書きました(何
絵はすごくらぶらぶだったけど、このお話は・・・いや、どうだろうね。。
甘ったるい話を書いてみよう。いつもそう思うけど、いざ書こうとするとどうしても食指が動かない。不思議だ。

それでは続きをどぞ〜。



 掌で心をころがして


 心ってボールじゃないから。ころがすとちゃんと痛い。
 遊具にも使えない。痛くて悲しくて、そんな邪魔なだけの心を鬱陶しいと思うこともある。
「なのはママ。私、なのはママのことだいすき」
「うん知ってる」
「だいすき」
「もちろん、私も」
「違う。だいすき、なんだよ」
「だから、私もヴィヴィオのことが大好きだよ?」
「違うよ、そうじゃない」
 柔らかげな唇にそっと自らのを被せた少女の頬は、悴んだ指先よりも真っ赤だと、少女だけが気付いている。本人はただ身に起ったことに驚きを隠さない。
「だいすき。分かってくれた?」
 だけど心があるから、痛いんだろうね。
 痛みが分かるってやっぱり良いことなんだろう、と少女は泣きそうな顔で笑った。

 正方形に切り取られたのは、白銀に染まる世界。
 窓枠に手をかけ、少女は息を吹きかけた。ガラスは一瞬にしてくゆった。生まれた結露を指でぬぐって、名前を書いてみた。
 なのはさん、と。
 そんな少女の背丈は、あと少しで最愛の人に届く。
 少女は十五歳。幼い顔つきながらも、十分に大人びた雰囲気を纏うほどに成長していた。
「ヴィータお姉ちゃんは“悪魔”だと言った。フェイトママは“女神”だと言った。じゃあ私は、どうなんだろう」
 困り果てた様子のなのはから若干の距離をとって、少女は呟いた。独り言にも似た言葉の意味を捉えることはなのはには出来ず、いまだ口付けられた衝撃が抜け切らぬ中で少女を見上げていた。
 カーペットが敷かれている床にへたりこんだ人の姿を横目で振り返る。どんなことをしていても、どんな格好で、どんな表情をしていても可愛らしい人の姿に、苦笑が洩れる。
「考えてみた。だけど私はなのはママを何かに例えることなんて出来なかったよ。私にとってなのはママは、ずっと、なのはママでかなかったから」
 無防備すぎるなのはを何度力任せに抱き締めようとしたか、少女は分からない。
 夕食どき、まな板を軽快なリズムで刻むエプロン姿の後ろから抱き締める、疲れからすやすやと眠るその頬っぺたに口付けを落とす、真っ直ぐな栗色の髪を指で丁寧に梳く。
 叶いもしない妄想を幾度となく頭の中で繰り返しめぐらせてきた。実際に行動に移そうともしたが、その度にどこからくるのか抑止力が身体をしばりつけ、動けなくさせる。ひとえになのはと離れたくないという想いからだ。
 おそらく少女が何をしようとも、なのはは離れていくことはないだろう。優しく強く、誰よりも少女を愛しているからだ。だけれども確実に気まずくはなり、以前のような会話は交わせなくなるはずだ。
 そう思うからこそ、少女はなのはに手を出すことはない。
 少女にはどうしても、毎日華やぐような笑顔が見れることだったり、見送りや出迎えのときにしてくれる優しい抱擁だったりが手放せなかった。自分の名前を呼ぶときの暖かな声も支えた。
「ねえ、なのはさん」
 だが少女がなのはの他者との親密な交わりを見てしまってから、それらが足をいくら引っ張っても押さえ切れなくなった。たまたま何度か訪れた管理局で、なのはは他の誰よりも人気者だった。英雄とたたえられながら、敬遠されることもなく朗らかな会話を交わす人たち。いつも誰かしらなのはの周りには人がいた。フェイトやヴィータ、はやてやティアナといったよく見知った人も居た。その中でも特にフェイトやヴィータと一緒に居る場面をよく目にした。巧妙に隠蔽してはいたが、同じ人を好きになった少女の視点だから分かる。――あれは恋する人間の視線だ、と。また、なのはも彼女たちの視線を受け、他の人には向けない特別な笑顔を返していたのだ。
 そんな考えに至った少女は、自分ながら苦笑した。自分は今まで何をしていたのだろうと。自分が一番愛されていると自惚れ、安心し、その気になればと構えていた事に心底嫌悪した。
 離れるのが嫌?
 何を呑気に考えていたのか。
 授業を終えいつものように家で復習も兼ねた仮想戦闘訓練をしながら一人の時間を潰し、母親の笑顔を迎えた瞬間に弾けとんだ。それからはほぼ衝動に近かった。
「なのはさんって、ずっと呼びたかったんだよ。ほんとうに、ずっとね」
「ヴィ……ヴィオ」
 震える声に口付けるよう、もう一度名前を囁いて、少女はなのはに向かった。
「なのはさんを私のものにしたい。いい?」
「だってヴィヴィ――」
「ごめんね、もう待てないや」
 尋ねる口調だったが、なのはの言葉を待つ気はない。紺色の教導隊指定の制服を脱がし、白いシャツのボタンを人差し指ではじくように飛ばした。胸の弾力もあってか、ブチブチと弾け床の隅の方にところがっていく。首筋に口付けながら同時進行でシャツを肩からずらすと、黒いハイネックが覗く。少女は容赦なく捲り上げた。豊満な胸が橙の下着に護られていたけど、もちろんそれも上にずらす。震えながらこぼれたなのはの胸に手をそえた。
「なのはさんの胸、凄く綺麗」
 口の中に溜まった唾を飲み込み、蕾を唇ではさむ。舌先で突っつくと、頭上の方からかすかに艶がかった声が漏れた。その反応に満足し、さらに少女は進める。
 が、少女はふと行為の最中に鎖骨辺りについた紅の痕に気付いた。いきなり行動がやんで、なのはは少女の様子を仰ぎ見ようとし、途中で止まった。
「これ、なに」
「え……?」
「何これ。誰にされたの」
「ヴィヴィオ?」
「キスマーク付いてる」
 指差しながら、表情を削り取った少女がなのはに問う。自身の身体を見下ろすが、捲り上げられたハイネックが視界を遮って見えにくいようだったが、思い当たることはあるみたいで、面白いほどに顔色が変わった。実際は少女にっとっては面白くもなんともなく、それどころかさらに怒りを増幅させただけだったのだが。
 もう一度、誰、と顔を近づけて詰め寄ると、か細く「フェイトちゃん」という声が聞こえた。
「付き合ってたんだ。知らなかったな」
 なのはの頬に手を添えた。
「ずるいよ」
 静かに呟くと、なのはは沈んだ声で返してきた。反応がくると予想していなかった少女は、思わず目を剥く。
「違うよヴィヴィオ。フェイトちゃんとは、……付き合っていないよ」
「じゃあなんで、これ……」
「ごめん、それは答えられない」
 それは完全な拒絶のように、少女には聞こえた。
 初めてのそれに耐え切れず、手を引いてなのはの身体から離れた。広い床の上、なのはの隣に寝そべって天井を見上げる。
「分からないよ、なのはママ」
「うん」
「本当によく……わからない」
 胸に酷い空洞ができてしまったような気がする。
 何か、身体にいくつもの穴が空いて、中から漏れ出しているような感覚だった。体中脱力しきっていて、起き上がる気力もない。首を傾け、音もなく降り積もる雪を見る気もしない。
 そんな少女の髪にふと何かが触れた。向日葵色の髪を流れにそって撫でる手に愛情をまだ感じてしまう自分は、やはりどうしようもない馬鹿だと思い、そんな自身に抗うように彼女に背を向け、その手から逃げ出す。
 だけど柔らかな声が後を追うように背中を包み込んだ。
「さっきさ、ヴィヴィオが言ったよね。“だいすき”の意味が違うって。あれ違わないから」
 少女は答えなかった。ただぼんやりとドアの方を眺めていた。
「ヴィヴィオの大好きがそういう意味なら、同じだよ。……って、そう言えば分かってくれるかな」
「え――」
 咄嗟に振り返った少女の頬をなのはが包んだ。意味もわからず、蒼く透き通る瞳に吸い込まれるようにして彼女を見詰めた。
「不安になんてならなくていいんだよ。私はちゃんと、ヴィヴィオを愛してるんだから」
「なのは……ママ?」
「なのはさんでいいよ」
「……な、のは、……さん」
「うん」
「……なのはさん」
「そうだよ。暮らしてきて、今まで気づいてくれなかったほうが悲しいよ。こんなことしなくても、私の心はずっとヴィヴィオのものなんだよ?」
「なのはさん、でも私は……」
「大丈夫だよ。これからたくさん抱き締めてくれれば。時間はまだあるよ」
 少女はそれから、なのはの胸に飛び込んだ。随分と久し振りの抱擁のように感じてしまう。乱暴に脱がせた服があちこちに散らばり、それも少女を追い立てた。
 頭を優しく包み込んでくれるなのはを感じ、少女は咳を切ったように泣き出す。次々と湧き上がってくる嗚咽を隠すことなく、少女は彼女の胸の中にいた。
 落ち着いた頃、ようやく余裕が出来始めた少女が窓を見ると、大人しかった雪は吹雪き始めていた。自分と正反対だな、とこっそり苦笑し、なのはの方に顔を向けた。すやすやと心地良さそうに眠っている彼女の髪を撫でる。
 静寂の支配する世界のなか、二人だけがこの世に存在しているかのようだった。
 ふわりと微笑みを浮かべると、少女もまた再び深い眠りへと潜りこんでいった。




× あとがき ×
ヴィヴィなの難しすぎるよ。。
そしてはじめての?なのは受けです。なの受け!
途中から逆転してるような気もするけど、受けなんだ!
そしてなのは受けは書いてて楽しい事が判明。ヴィヴィオも結構楽しい。まだ思考方向がしっかりしないけど、そこはSS04に期待!
なのはとヴィヴィオの二人暮しのようだし、さぞラブラブしてくれるでしょう。たまにフェイトとも会うようで、その度に表では笑顔で、でも嬉しそうにフェイトと会話するなのはママにちょっと苛立ったりしてw
ヴィヴィなの、流行らないかなあ。

短編◇ヴィヴィオ×なのは | comments (4) | trackbacks (0) |
なんか電波が。 | top | 拍手返信なの7

comments

すっげ、すっげ、すっげぇぇぇぇぇ!!!(壊
私も今、ヴィヴィなの書いてるんですがすんごい参考になりました。我が家のやつができた(いつになるか分からないけど(汗))よろしければ見に来てやってくださいm(_ _)m
by: KATANA | 2007/10/08 | URL [編集] | page top↑
はじめまして!加奈です。
壊れるほど、ありがとうですよ〜w
ってヴィヴィなの書かれているんですか!ぜひ読んでみたいです。
出来ましたらみにいきますね!
というか、、なのは総受け好きですかwいいですよね、なの総受けw
by: 西野加奈 | 2007/10/10 | URL [編集] | page top↑
ヴィヴィオは常に聖王・大人バージョンで居ればいいと思う。
ついでに、教導隊にでも入ってしまえばいいと思う。

6課解散後、執務官職務に戻るフェイトに、
「私は、二度となのはさんを悲しませたりなんかしませんから。」
と、言い放つ大人ヴィヴィオが頭に浮かんだ。
by: 一介の北海道人 | 2008/04/14 | URL [編集] | page top↑
>一介の北海道人さん
教導隊に入ると、ヴィータと火花が(ぁ
聖王バージョンのヴィヴィオが好きだったりします。
いえ、小さいのも好きなんですが、大人バージョンで迫られると、なのはさんはきっと断れないんじゃないかなあ、って。

> 6課解散後、執務官職務に戻るフェイトに、
> 「私は、二度となのはさんを悲しませたりなんかしませんから。」 と、言い放つ大人ヴィヴィオ
凄く鮮明に浮かんでしまいましたw
フェイトが驚きながら、「なのはを悲しませたら、すぐに連れ去るから、覚悟しておいてね」と言い返す姿が。
大人ヴィヴィオには容赦のないフェイトさん。
by: 西野加奈 | 2008/04/15 | URL [編集] | page top↑

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