2017-10

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SHOUT!―後編

六課解散後二次会SS「SHOUT!」の後編です。
はやなのは初めてだったので、楽しんで書けました。
しかしフェイトさん……私が書くとフェイトがなんともまあ、アレな感じになります。
なんというか、もう、、なにょは可愛いよにょは!

それでは続きよりどうぞです。



 SHOUT! 後編


 金の閃光はふと横目でなのはの様子を盗み見た。
 今はヴィータの隣にいる。ヴィータはフェイトにとって、今相手にしているこの未来の補佐よりも尚更不安要素の多い相手である。
 なのははなぜかヴィータに懐く。猫が玩具に跳び付くように、いくら逃げられようとも憎まれ口を叩かれようともかかっていく。抱き締めて笑顔を送る。――それが特別のようにも思えて、フェイトには気に入らないことも多い。なのはに直接言えないにしても、ヴィータにそれとなく忠告はしたが彼女は気にする風でもなく否定した。全くもって相手にならない。だからヴィータの母親のようなものであるはやてに一度は相談してみようかとも思案してみたが、即座に脳内却下が下る。
 ――はやては駄目だ、はやては。
 彼女になのはを近づける口実を与えるなんて危険すぎる。淡白・さわやか・あっさり・爽快なイメージをなのはに抱かせつつ、実態は粘着質で用意周到に事を運ぶ策士。あの歳でニ佐につけたのはレアスキルや魔導士ランクだけの所為ではない。
 ならば尚更ティアナに構ってる場合ではなかった。
 分かってはいるのだが、どうにもなのはに狂わされた人間というのは物凄い力を発揮するようで、でなくとも本人が言うほど凡人でもないティアナだ。なのはが鍛えこんだ今ならフェイトでさえ容易に撃ち落とすことは出来なかった。
 そうこうしているうちに、ヴィータがなのはを押し倒すという奇行に走った。額に青筋が走る。とりあえず動けないフェイトは、出来るだけの威力と速度を掛けた雷撃をヴィータの周囲に撃ち込むことにした。


「おいおい……」
 ヴィータが背後を振り返る直前、傍に雷が降り注ぎ床に黒い穴をぽっかりと空けていた。煙が立ち昇っている。いいのかこれは、と頬を引き攣らせるが、すぐにそれどころではないと悟る。
 にっこりと笑顔を浮かべるヴィータにとって親しき人物、かつては彼女の命を救うために奔走した経験もあり、守護騎士システムが損なわれつつある現在でも主と慕ってやまない人物だ。そんな人物の口は笑みの形になっていたが、肝心の目元が笑っていない。ヴィータは見ないフリをようとしたがやはり無駄だった。
「あかんなぁ、なのはちゃんにおいたをする子は、お仕置きせなな」
「は、はやて」
「大丈夫やで。苦痛をじっくりとその体に刻み込むだけで、命は取らんよ」
「さ、最悪……、じゃなくてはやてっ! なんでだよ。別に悪いことなんてしてないのに」
「無理矢理キスして押し倒したように見えたんやけど」
「な、なにょははあたしのこと好きって言ってくれたよ」
 また噛んでしまった。格好悪い。
「へえ、そうなん。なのはちゃん」
 だがはやては気にする様子もなくなのはの方に視線を向ける。ヴィータに向けたものとは真逆の笑顔でもって問いかけられたなのはは、その背後に漂う不穏な空気を察することもなく、こくりと頷く。
 はやては続けた。
「ヴィータとずっと一緒にいたいくらい?」
「当たり前だよ。だってヴィータちゃんは私の大切な親友だもん。大好きだからずっと一緒にいたいって思うんだよ」
「ほうほう。というわけやけどヴィータは、……生きとる?」
「……ごめんはやて、少しそっとしておいて」
 なのはがヴィータを、むしろ回りの人間すべてを良き友、または部下と思っていると知っているからこそあのような問い方をしたのだと、ヴィータは気付いていたがしかし、言い返す気力は根こそぎ奪われたあとだった。
 心中察するで、ヴィータ。でも自業自得やから慰めてやらん。素晴らしい家族愛やと沢山泣いてええからな。
 両手足を床について項垂れるヴィータを眺めながら、そんなことをはやては思ったとか。
「しかしキスまでされて親友とは……、なのはちゃんは鈍いというか」
「そんなに鈍くないつもりなんだけど」
「せやねえ、自分の事以外は驚くほど鋭いんやけどねえ」
「うう……」
「まあそんななのはちゃんも可愛いんやけどな」
 唸るなのはの頭を、髪の流れにそって撫でていく。彼女の豊満な胸をも揉みしだくのもいいが、こうした触れ合いもなかなかに心安らぐものだ。こうしてずっと居ても、きっとそれはそれで幸せなのかもしれない。
「うにゅ、どうしたの、はやてちゃん」
 気持ち良さそうに猫みたいに笑いながら見上げてくれる。不意打ちの可愛らしすぎる仕草に、一瞬鼓動が熱くなった。
 ――あ、あかん。私までなのはちゃんにやらてれもーたら、この会終わる。
 遠目に見える、フェイトとティアナの接戦がはやての心に足枷を付ける。おそらく自分がここで崩れればフェイトは身に掛かる粉を振り払ってまで飛びかかってくるだろうし、そうなれば応戦せざるをえず、結果としてこの建物は崩れ、始末書に追われる日々が来るのだろうことは簡単に予想できた。だからこそこうして、頭を撫でるだけというぎりぎりで歯止めのかかる行為でとどめているのだ。会が滅茶苦茶になれば、なのはもきっと悲しむだろう。それははやてとしては何としても避けたかった。なのはの悲しい顔なんて見たくない。
 それにしても、どうしてこうまで彼女は可愛らしいのだろう。
 なのはがくすぐったそうに身じろぎをする度に、はやては考える。周りに誰もいなければ迷うことなく襲い掛かってしまっているだろうその愛らしさに、意図せずに笑みが浮かぶ。いつのまにか彼女ははやてに、くてり、と体重を預けてきていて、アルコールにより火照った体温が伝わってくる。ティアナが陥落した胸の柔らかさも感じられたし、ヴィータが夢中になった唇もすぐ近くにあった。それなのに背中に腕も回せないなんて、生殺しもいいところだ。
 なんだか喉が渇いてしまった。大きく溜息をついたはやてが少しばかり身を捩ってテーブルのグラスを取り、口に運んだ。先ほど追加されたばかりの水は適度に冷やされていて喉に心地良かった。一口飲んで、幾分熱も収まったかとグラスを置こうとして、胸に凭れていたなのはが動き、ほとんど残っていたお水が零れた。
「ひゃぁっ、つめた……」
「ご、ごめんなのはちゃ、……っ」
 一時停止ボタンをかけられるはやて。ごくりと喉だけが鳴る。
 情況を整理しよう。それから頭を冷やそう。はやては焦る頭をどうにか冷却させようと、視線は釘付けになったままで別の事を考える努力をしてみる。だがそんなものは虚しい努力でしかなかった。
「大丈夫だよ。ちょっと暑かったから気持ちいいくらい」
 上から下までびしょびしょになったなのはが体勢を入れ替えたことで、浴衣の下から覗く下着が視界に入る。上ではない。上を着けていないことは抱きつかれた瞬間に気付いていたから。――下。太腿の奥、中心にある白い布が水に濡れた姿で、はやての目に飛びこんできた。彼女がせめて色付きのものを着けていてくれたらまだ自制も利いたのかもしれないが、もはや仮定にすぎない。実際に今なのはのそこが薄っすらと透けて見えていて、はやての理性を突き崩すには十分だった。
「なのはちゃんっ」
 飛びかかりながら心で懺悔する。
 もういっぱい我慢したで、頑張った、頑張ったよ私は。せやからご褒美やそうこれはご褒美――そこで意識がブツリと途切れる。気付く間もなく、息荒くした黒き死神がその首を刈り取ろうと鎌を振り抜いていた。

 はやてがどうにか意識を取り戻した時、お姫様は白いマントの王子様に抱きかかえられていた。傍から見ると何と絵になるのだろう、しかし王子様がお姫様と仲良くハッピーエンド、なんてありきたりな物語は要らない。譲るつもりはなかった。自らも騎士甲冑を纏う。――始末書?何やそれ。
「なのは、おはよう」
 いつの間にか眠りに旅立ちかけたなのはに、そっとフェイトが囁きかける。
「うにゅ、……あれフェイトちゃん」
「そうだよ。お目覚めのお姫様のキスがほしい、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだよ」
「うん、……え?」
 酔いもよい感じに回っていると悟ったフェイトは、ここぞと言う。今ならば奪えると確信してのことだ。さらりとなのはの目に掛かる前髪を払いながら、綺麗な顔を近づける。
「駄目かな。親愛の証、ほしいんだけどな」
「あ、うん……、分かった」
 なのはもよく分からないまま首に腕を回して引き寄せ、口付ける。
 何度も言うが、なのはは寝ぼけている。
「ふふ、可愛いよなのは」
「フェイトちゃんも綺麗だよ」
「もう一度しても良い?」
「んー……?」
「いや、それよりも向こうの部屋に行こうか。服びしょびしょだし、早く着替えないと風邪引くからね」
 それに邪魔も入るだろうし。と呟いて立ち上がる。
「ちょお待ち」
 くってりとしたなのはを抱きかかえ、他の部屋に消えようとしたフェイトのマントの首をはやてが掴む。
「……何」
「渡さへん」
 はやては力拳を握る。
「なのはちゃんは渡さへんで!」
 動悸が例え不純であろうともその意思は嘘ではなく、瞳には灼熱の炎が宿りをみせる。
 時間が掛かりそうだ、とフェイトはなのはを静かに下ろした。頬にキスをすることも忘れない。なのはもなのはで頬を染めるのだから始末に悪い。
 そのままなのはは再度の眠りに落ちた。途端空間にどす黒い不穏な空気が満ちる。
「相手をしてあげるよ、はやて」
「ふ、ふふふ。ええ度胸や。シグナム、前衛はお願いな」
(それは少しばかり大人げ無いのでは?)
(もし勝てたらフェイトちゃんはシグナムのもんや)
(……良い運動になりそうですね)
 思念通話が断ち切られると、ビール瓶を片手にアルトやヴァイスと静かに飲み交わしていたシグナムが立ち上がる。瞬間、甲冑が彼女の体を包む。顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
「分かりました主、貴女に必ずの勝利を」
「おおきにな。よっしゃリイン、ユニゾンいくで!」
(はやてちゃん……、必死です……)
(ゲットできたらリインにもなのはちゃんをわけたるで)
(ふ、ふええ、わ、私はそんなっ)
(いらへんのかあ。ほんなら私だけでなのはちゃん独り占めしよかな)
(誰もいらないなんて言ってないです。リインもなのはさん大好きなんです!)
(うむ、良い返事や)
(はやてちゃん、ちょっと意地悪です。……でもなのはさん)
「いくです!」
 どうやらリインフォースIIも心を決めたようだった。
「なるほど、手段は選ばないか。それじゃあエリオとキャロ、補助をお願いね」
 既に仰々しい面子に、びくびくと震えを隠せないエリオとキャロを、臆病だとは誰にも責めることは出来ないであろう。通常でも溢れる気迫に押し込まれそうだというのに、欲望に忠実に、かつ目的を得るためならば手段さえ問わない彼女等を相手に、どう補助しろというのか。
 この時エリオとキャロは短い人生をしばし振り返ったという。
 果てに、いつの間にに意識を取り戻したのか、血に塗れても不屈の心を崩さない鉄槌の騎士ヴィータと、此度のJ・S事件のエースと成り得たティアナ・ランスターまで立ち上がってくる。
「行くぞティアナ。あいつらからなのはを取り戻すまで共闘だ!」
「その意見には賛成です。頑張りましょう!」
 ツンデレコンビも向かい、この絶佳たるメンバーは、愛しい姫である高町なのはの安眠を妨げぬように建物の外に出る。どれだけ頭に血が上っていても彼女を気遣うところは流石であろう。

 日が沈み、それでも止まぬ砲撃と斬撃の波動。
 その日建物の外で山の一つか二つが掻き消えたそうであるが、それがなのは争奪戦によるものと知るのは局の上層部とシャマルだけである。

 ◇

 さて。眠り姫の傍に座すのは、緑と紅の瞳を持つ少女である。金色の髪の少女は、世界で一番愛する母親の瞼に、羽毛のように優しく唇で触れた。
「なのはママはヴィヴィオのだよ」
 外界で何かが崩れる音が聞こえようとも、耳元で呟いたその言葉は確かになのはに届く。
 なのはに抱きついたまま、その隣で少女は穏かな眠りについた。

 その後しばらくして戦地から戻ってきたぼろ布のような様子のフェイトやヴィータ、はやてらが、なのはの寝崩れた浴衣姿を見て絶叫やら鼻血やらを出してヴィヴィオの怒りを買ったのはまた別の話である。





[ WEB CLAP ]
結局はやてはヴィータを精神的に追い詰めることにしたようです(一対一だと戦闘形態上勝負にならならない為)
ところでティアナはフェイトとの戦いでも結構頑張ると思うのです。フェイトが弱いのではなく、ティアナが強くなってるんじゃないかなと。一年もなのはさんから訓練をうけたのですから、そりゃあもう、AA位はいったんじゃないかな?と勝手に予想。

● COMMENT FORM ●

混戦乱戦かと思ったら、ヴィヴィオの1人勝ち?これが若さか(by シ○ア)。
でも、なのはが誰を選ぶかは、煙にまかれた気が…。

なのは総愛されいいですね。
私の趣味にもろ合致!!

最近はなのはヴィヴィが自分の中でブームなのでもうちょいなのヴィヴィ部分を増やしてほしかったかも。

今後もなのはSS楽しみにしています。
では。

>ユリかもめさん
なのはさんは、おそらくヴィヴィオを選んだかとw
そう、だから“高町”ヴィヴィオなんですよ!
というヴィヴィオの主張。
でもこの後なんだかんだで、なのはの周りで皆がいっしょに眠るとか、考えてましたw

>jjさん
なのはが皆に愛されるというのは凄く好きです。幸せで笑顔いっぱいのなのはさんをみるのも、愛されるがゆえに修羅場の中に身をおくことになって悲しげに俯くなのはさんも好きです。
なのヴィヴィ、大人verならもっといちゃつかせることができたかもです。次にこういう話を書くときがあれば、大人ヴィヴィで参戦させようかとw
これからも精進しがんばっていきますのでまたお暇があれば読みにきてやってください。


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