その境界線は。
高町なのはを全力全開で愛していく。そんな小説を書いてます。
白 - white - 2007/11/02
徐々になのはに惚れていくフェイトです。
自分の中のフェイトはこれが元になって成長していて、基本ともいえるべきもの。
自分的にはフェイなのは一期が最強です。
だけどフェイなのにハマったのは二期で、むしろリリカルなのはという作品にハマったのが一番に最初にみたフェイなのA's01話〜03話の流れだったりします。とこれは関係ないですがw
それでは続きよりどうぞ。
白 - white -
海があった。
真っ青な海の中で、真っ白な私がぷかぷかと流れに逆らうこともなく漂っていた。
全てが白い空虚の中にあって、信じられるものはたった一つを除けばなにもなかった。世界は一色で、毎日同じ光景。場所は変わっても、受ける心象は同じだった。否、そもそも私は何かを見て感じるという事をしていただろうか。
白い雲が浮かんでいる。透き通る海の中で目を閉じていてもまばゆいばかりに差し込んでいる太陽の光。
そんな光景を努めて感じないふりをしながら眺めている。心に湧き上がるものを無視してしまえば、楽になれるから、いつだってそうしてきた。考えることはつらいこと。母さんのために私は生きている。それ以外にどんな理由が必要だったのだろう。考えても分からないなら、きっと要らないんだろう。この掌には何もない。
瞼をゆっくりと開く。自らの金色の髪が陽に溶けて、きらきらと輝いている。その向こうでは蒼い空と白い雲があった。
そんな、オレンジの太陽が瞬く快晴。沈み行く意識の中でやけにはっきりとした部分を感じながら、その時まで笑顔なんて一度も見たことがなかったのに、まるで太陽があの子のように見えていた。
沈んでいく私をあの子が救い上げてくれるまで、ずっと。
知ることと知らないでいること、どちらがよかったのか今でも答えは出ない。現実としては知らなかったのだから考えることは無意味なのかもしれないが、かといってそこで思考を止めることは出来なかった。底のない海に潜り込む様にして、思う。母さんが私を『ただのクローンであなたはプレシアの代わり、だけど似ても似つかないからプレシアを生き返らせるために働いてちょうだい』と言われているのが幸せか。何も知らされないまま気付かないまま、血を流していくのが幸せか。
後者だ、と思う。前者だ、とも思う。何も考えずに動ければ楽で、あの人を信じていられる時間は確かに無心でいられた。だが反面真実を知った時の恐怖と絶望はいいようもない。かといって、前者もお互いが幸せになれるよう考え行動できる意思は生まれただろうが、迷うだけ迷って傷つけるだけ傷つけて、結局良い結果になったとは思わない。
やはり考えは尽かない。
そんな私が思考の海に飲み込まれていくと、必ず引き上げてくれる人がいた。リニスでもアルフでもない、あの子。気付けば名前さえ覚えていないような人なのに、私はあの子の言葉や様々な表情を思い出す度に、夢から覚めるような気分を覚える。それは決して悪いものではなく、むしろ心地良いものだった。
いつも辛い顔ばかりしていたあの子。悲しい表情をさせてしまっていたあの子を思い返すと胸が苦しくなる。痛みではない、切なさにも似た形容しがたい感情。私はあの子の言葉を聞き入れることなく、今までずっと振り切ってきたのだと改めて気づく度に、そんな感情の入り混じった物悲しさに襲われる。
『フェイトちゃん』
名前を呼ばれた。自分は記憶に残してもいなかったのに、あの子は一度ぼそりといった名前さえ覚えてくれていた。温度を込めてそう呼ばれるのは、本当に久し振りだった。
「大丈夫、フェイト」
白波のたつ海面を見詰めていると、ふとアルフが声をかけてくれる。
「やっぱり緊張してるのかい」
「うん、少しね」
肯定の意で頷く。そう、と呟くと、アルフは自分から視線を離した。何処を見ているのかは分からなかったけれど、精神リンクに頼らなくても気遣ってくれているのは分かった。
海が鳴る街の、今日この場所であの子と会う。
「話が出来るといいね」
それからしばらくの時、私たちは白くて青い空と、青くて白い海を眺めることに徹した。
様々な考えが浮かぶ中、少ししてあの子が現れた。
白い服を着たあの子が視界の端に映った。大きく手を振りながら駆けてくるあの子の笑顔を見て、初めて自分が、この時間を待ち望んでいたと知る。
事件以来見なかった顔だけど、記憶のそれとは一切の違いはない。他の何よりも鮮明に描かれた自分の中のあの子と、まったく同じだった。
蒼い目をした栗色の髪の少女。悲しみより微笑みの方が、より整った顔立ちを際立たせてよく見せる。どこかの制服なのだろう、白い生地に黒いラインとチューリップのワンポイントが、少女の愛らしさを一杯に表現していた。
息を切らせてまで来てくれる少女に、若干の動悸が走る。大きく息を吸い込むことで紛らせて私も小さくだけど手を振り返した。
「こんにちは、フェイトちゃん」
心を全て持っていかれるようなその笑顔に、私は再び思っていた。ありふれた比喩、だけど確実で一番正しい表現の仕方。太陽みたいな笑顔という言葉は、彼女にこそ相応しいのだと。
少女から教わる沢山の中の一つが名前を呼ぶことだった。ゆっくりと、かみ締めるように少女はいつも私の名前を呼んでくれていた。どんな言葉を掛けられるより嬉しく感じたのは、正しかったのだと教えられた。
少女、ううん、もう少女とかあの子とかは呼ばないことにしよう。
三文字の音の中に想いをすこしづつ詰める事ができる方法があの子の、『なのは』という名前を呼ぶことなんだ。
――なのは。
実際に呼んでみれば、驚くほどの気持ちが、知らずのうちに含まれていた。
「なのは」
だからもう一度、確かめるよう音にしてみる。涙を目の畔に溜めて力強く頷くなのはの顔を見て、自身の目の淵も揺れるのを感じながら笑った。
「なのは」
不思議だった。でもこの気持ちの放流に意味を求めるのはおそらく違う。これはきっと、受け止めて胸に仕舞い込んでおくものなのだ。
拭った涙は暖かくて、抱き締めた温度は心地良かったけれど、それから逆に怖くもなった。酷烈なほど大量に流れ込んでくるなのはへの気持ちが、自分では扱いきれないくらい強大なもので、それでいて失われていく瞬間には私はまた何も出来ないのだろう事が思い描けてしまった。一度大切なものを失った記憶はどんなに強く擦ろうと消えはしないし、そもそも私はその記憶を消そうとしなかったから当然といえば当然である。
私は無敵でも万能でもない、ただのちっぽけな複製人形にすぎない存在で、そもそも大切なものを求めるほうがおかしいのかもしれない。
「フェイトちゃん」
そう考え始めて、やはりなのはは私を引き上げてくれる。名前を呼んで、視線を向けてくれるだけで不快な気持ちを薙ぎ払えてしまった。
――そして私は気付く。
失われてしまわないよう強くなれば良いと、そんな単純な回答が。離れてしまっても引き寄せるだけの強い想いをもてば良いと。
無敵ではない。万能でもない。だけどなのはの笑顔を護るためなら、ありえない力だって発揮できるような気がした。もしもなのはが求めてくれるなら、なんだって出来るのだと由もなくそう信じられた。
「なのはが辛い時には、いつだって助けに行くよ」
誓いにも似た言葉を、なのはにだけ捧げることの出来る幸せがある事に感謝する。頬を流れる涙も、少女が与えてくれているのならば我慢することもでもない。
白い空虚と包む世界。
その中に身を置く自分は、今もぷかぷかと青い海の中に浮かんでいる。
手を伸ばしても指に触れるものはないだろうと知っていて、オレンジの太陽に手を伸ばす。水は冷たく、流れだって殆どない。ただひたすらに青い海の中にいて、白い雲を目指した。そう、触れるものは確かに何もなかった。だけど指の先は熱に包まれ、ほんの少しだけ温められた。
それをきっと優しい気持ちと呼ぶのかもしれない。
何もないと思っていた掌には、いつの間にか桜色のリボンがあった。
× あとがき ×
タイトルはいろいろ考えたけどこれしかなかったよ。
あと文章中にいくつか仕込んでみました。全部に気付く人はいないかもですが、いいんです。自己満足みたいなもんですから。勿論気付いてくれてたら嬉しいですよ!
恋愛か友情か。この辺りはそんな感情は取っ払って、フェイトがなのはに引かれていった時期かと。友達だ、恋人だ、いや嫁だと意見はあると思いますが、全部ひっくるめてなのはへの好意を持っていることはたしかだと。フェイトにとって感情の種類なんて関係ないんです。なのはの存在が全てですから。
とりあえずinnocent starterは良い。
自分の中のフェイトはこれが元になって成長していて、基本ともいえるべきもの。
自分的にはフェイなのは一期が最強です。
だけどフェイなのにハマったのは二期で、むしろリリカルなのはという作品にハマったのが一番に最初にみたフェイなのA's01話〜03話の流れだったりします。とこれは関係ないですがw
それでは続きよりどうぞ。
白 - white -
海があった。
真っ青な海の中で、真っ白な私がぷかぷかと流れに逆らうこともなく漂っていた。
全てが白い空虚の中にあって、信じられるものはたった一つを除けばなにもなかった。世界は一色で、毎日同じ光景。場所は変わっても、受ける心象は同じだった。否、そもそも私は何かを見て感じるという事をしていただろうか。
白い雲が浮かんでいる。透き通る海の中で目を閉じていてもまばゆいばかりに差し込んでいる太陽の光。
そんな光景を努めて感じないふりをしながら眺めている。心に湧き上がるものを無視してしまえば、楽になれるから、いつだってそうしてきた。考えることはつらいこと。母さんのために私は生きている。それ以外にどんな理由が必要だったのだろう。考えても分からないなら、きっと要らないんだろう。この掌には何もない。
瞼をゆっくりと開く。自らの金色の髪が陽に溶けて、きらきらと輝いている。その向こうでは蒼い空と白い雲があった。
そんな、オレンジの太陽が瞬く快晴。沈み行く意識の中でやけにはっきりとした部分を感じながら、その時まで笑顔なんて一度も見たことがなかったのに、まるで太陽があの子のように見えていた。
沈んでいく私をあの子が救い上げてくれるまで、ずっと。
知ることと知らないでいること、どちらがよかったのか今でも答えは出ない。現実としては知らなかったのだから考えることは無意味なのかもしれないが、かといってそこで思考を止めることは出来なかった。底のない海に潜り込む様にして、思う。母さんが私を『ただのクローンであなたはプレシアの代わり、だけど似ても似つかないからプレシアを生き返らせるために働いてちょうだい』と言われているのが幸せか。何も知らされないまま気付かないまま、血を流していくのが幸せか。
後者だ、と思う。前者だ、とも思う。何も考えずに動ければ楽で、あの人を信じていられる時間は確かに無心でいられた。だが反面真実を知った時の恐怖と絶望はいいようもない。かといって、前者もお互いが幸せになれるよう考え行動できる意思は生まれただろうが、迷うだけ迷って傷つけるだけ傷つけて、結局良い結果になったとは思わない。
やはり考えは尽かない。
そんな私が思考の海に飲み込まれていくと、必ず引き上げてくれる人がいた。リニスでもアルフでもない、あの子。気付けば名前さえ覚えていないような人なのに、私はあの子の言葉や様々な表情を思い出す度に、夢から覚めるような気分を覚える。それは決して悪いものではなく、むしろ心地良いものだった。
いつも辛い顔ばかりしていたあの子。悲しい表情をさせてしまっていたあの子を思い返すと胸が苦しくなる。痛みではない、切なさにも似た形容しがたい感情。私はあの子の言葉を聞き入れることなく、今までずっと振り切ってきたのだと改めて気づく度に、そんな感情の入り混じった物悲しさに襲われる。
『フェイトちゃん』
名前を呼ばれた。自分は記憶に残してもいなかったのに、あの子は一度ぼそりといった名前さえ覚えてくれていた。温度を込めてそう呼ばれるのは、本当に久し振りだった。
「大丈夫、フェイト」
白波のたつ海面を見詰めていると、ふとアルフが声をかけてくれる。
「やっぱり緊張してるのかい」
「うん、少しね」
肯定の意で頷く。そう、と呟くと、アルフは自分から視線を離した。何処を見ているのかは分からなかったけれど、精神リンクに頼らなくても気遣ってくれているのは分かった。
海が鳴る街の、今日この場所であの子と会う。
「話が出来るといいね」
それからしばらくの時、私たちは白くて青い空と、青くて白い海を眺めることに徹した。
様々な考えが浮かぶ中、少ししてあの子が現れた。
白い服を着たあの子が視界の端に映った。大きく手を振りながら駆けてくるあの子の笑顔を見て、初めて自分が、この時間を待ち望んでいたと知る。
事件以来見なかった顔だけど、記憶のそれとは一切の違いはない。他の何よりも鮮明に描かれた自分の中のあの子と、まったく同じだった。
蒼い目をした栗色の髪の少女。悲しみより微笑みの方が、より整った顔立ちを際立たせてよく見せる。どこかの制服なのだろう、白い生地に黒いラインとチューリップのワンポイントが、少女の愛らしさを一杯に表現していた。
息を切らせてまで来てくれる少女に、若干の動悸が走る。大きく息を吸い込むことで紛らせて私も小さくだけど手を振り返した。
「こんにちは、フェイトちゃん」
心を全て持っていかれるようなその笑顔に、私は再び思っていた。ありふれた比喩、だけど確実で一番正しい表現の仕方。太陽みたいな笑顔という言葉は、彼女にこそ相応しいのだと。
少女から教わる沢山の中の一つが名前を呼ぶことだった。ゆっくりと、かみ締めるように少女はいつも私の名前を呼んでくれていた。どんな言葉を掛けられるより嬉しく感じたのは、正しかったのだと教えられた。
少女、ううん、もう少女とかあの子とかは呼ばないことにしよう。
三文字の音の中に想いをすこしづつ詰める事ができる方法があの子の、『なのは』という名前を呼ぶことなんだ。
――なのは。
実際に呼んでみれば、驚くほどの気持ちが、知らずのうちに含まれていた。
「なのは」
だからもう一度、確かめるよう音にしてみる。涙を目の畔に溜めて力強く頷くなのはの顔を見て、自身の目の淵も揺れるのを感じながら笑った。
「なのは」
不思議だった。でもこの気持ちの放流に意味を求めるのはおそらく違う。これはきっと、受け止めて胸に仕舞い込んでおくものなのだ。
拭った涙は暖かくて、抱き締めた温度は心地良かったけれど、それから逆に怖くもなった。酷烈なほど大量に流れ込んでくるなのはへの気持ちが、自分では扱いきれないくらい強大なもので、それでいて失われていく瞬間には私はまた何も出来ないのだろう事が思い描けてしまった。一度大切なものを失った記憶はどんなに強く擦ろうと消えはしないし、そもそも私はその記憶を消そうとしなかったから当然といえば当然である。
私は無敵でも万能でもない、ただのちっぽけな複製人形にすぎない存在で、そもそも大切なものを求めるほうがおかしいのかもしれない。
「フェイトちゃん」
そう考え始めて、やはりなのはは私を引き上げてくれる。名前を呼んで、視線を向けてくれるだけで不快な気持ちを薙ぎ払えてしまった。
――そして私は気付く。
失われてしまわないよう強くなれば良いと、そんな単純な回答が。離れてしまっても引き寄せるだけの強い想いをもてば良いと。
無敵ではない。万能でもない。だけどなのはの笑顔を護るためなら、ありえない力だって発揮できるような気がした。もしもなのはが求めてくれるなら、なんだって出来るのだと由もなくそう信じられた。
「なのはが辛い時には、いつだって助けに行くよ」
誓いにも似た言葉を、なのはにだけ捧げることの出来る幸せがある事に感謝する。頬を流れる涙も、少女が与えてくれているのならば我慢することもでもない。
白い空虚と包む世界。
その中に身を置く自分は、今もぷかぷかと青い海の中に浮かんでいる。
手を伸ばしても指に触れるものはないだろうと知っていて、オレンジの太陽に手を伸ばす。水は冷たく、流れだって殆どない。ただひたすらに青い海の中にいて、白い雲を目指した。そう、触れるものは確かに何もなかった。だけど指の先は熱に包まれ、ほんの少しだけ温められた。
それをきっと優しい気持ちと呼ぶのかもしれない。
何もないと思っていた掌には、いつの間にか桜色のリボンがあった。
× あとがき ×
タイトルはいろいろ考えたけどこれしかなかったよ。
あと文章中にいくつか仕込んでみました。全部に気付く人はいないかもですが、いいんです。自己満足みたいなもんですから。勿論気付いてくれてたら嬉しいですよ!
恋愛か友情か。この辺りはそんな感情は取っ払って、フェイトがなのはに引かれていった時期かと。友達だ、恋人だ、いや嫁だと意見はあると思いますが、全部ひっくるめてなのはへの好意を持っていることはたしかだと。フェイトにとって感情の種類なんて関係ないんです。なのはの存在が全てですから。
とりあえずinnocent starterは良い。
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アリサ×なのは

comments
なのはを思うフェイトが可愛すぎです。
自分のフェイトのなのはへのラブ矢印は、痛いくらいにむかってますw
なのはが自分に対する好意を普通に感じられたら、キツイんじゃないのかと。あ、でもなのはさんもフェイトが大好きだからいいのか。
こんなフェイトさんが基本なので、後の時代の話になると壊れているのも頷けますね。後になればなるほどなのはの魅力を一心に受けていることになるので!
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